「充電5分で520km走行」 勢い止まらぬ中国電池メーカー:CATLのLFP電池「Shenxing」(1/2 ページ)
CATLが、EV用バッテリーとして第2世代「Shenxing」を発表した。リン酸鉄リチウム(LFP)バッテリーで、Cレートは12と非常に高い。わずか5分の充電で航続距離520kmを実現するという。
電気自動車(EV)用バッテリーメーカー大手のCATL(Contemporary Amperex Technology Ltd.)は、第2世代の超高速充電バッテリー「Shenxing」を発表した。Shenxingは、わずか5分の充電で航続距離520kmを実現するという。これは、バッテリー技術の大幅なアップグレードで、国内のライバル企業であるBYDの最近の発表を上回る充電速度の新たなマイルストーンとなる。
CATLの最高技術責任者(CTO)を務めるGao Huan氏は、同社が中国の上海で開催した「Super Tech Day」で、この新しいバッテリーを「飛躍的な前進」とアピールした。Gao氏は「当社は本日、正式に発表する第2世代の超急速充電バッテリーShenxingによって、超急速充電性能の限界を再び押し広げる。これは、800kmの航続距離と12Cのピーク充電速度の両方を備えたリン酸鉄リチウム(LFP)バッテリーである」とアナウンスした。
この発表は、同じく中国の大手EVバッテリーメーカーであるBYDが、CATLと同じ5分間で航続距離を約400km延長できるという急速充電システムを発表した直後に行われた。
CATLの520kmという主張は、この重要な指標においてBYDを上回ったことを示していて、急速に進化する中国のEV分野での競争を激化させ、国際的な自動車メーカーに追い付くよう圧力をかけるものである。
Gao氏は「より多くの業界リーダーと協力して、真のイノベーションを通じてスーパーチャージャーの限界を押し広げたいと考えている」と述べ、同社の技術が「電気自動車の標準」となることへの意欲を示した。
Bernsteinのアナリストは、充電技術が急激に進化していることに言及し、充電速度は「過去1年で2倍以上になり、過去3〜4年で10倍になった」と述べている。CATLは、同社の新バッテリーShenxingが2025年中に67モデル以上のEVに搭載されると見込んでいて、強化された機能を迅速に展開していく計画だとしている。
このような急速充電機能を実現するには、バッテリー技術のさまざまな側面で大きなブレークスルーが必要である。CATLによると、12Cという超高速充電速度は、「材料科学プロジェクトの設計とエンジニアリングの革新」における包括的な進歩のたまものだという。
主なイノベーションには、サブマイクロ導電性粒子で設計された新世代の「超結晶ライングラファイト」や、効率的な固体電解質界面(SEI)フィルムを介してリチウムイオンの高速移動を促進するナノスケールの液相高速輸送技術を特徴とする「インテリジェント電解質ライン」がある。
第2世代のShenxingバッテリーには「バランス電子フロー技術」が組み込まれている。同技術は、電子が流れる面積を2倍にしてエネルギー負荷を減らし、輸送効率を向上させる。また、カーボンコーティングされたナノ導電性カソード技術と組み合わせることで、安全で効率的な超高速充電の重要な要素である内部抵抗と発熱を最小限に抑えている。
CATLは「こうした進歩により、エネルギー密度やサイクル寿命、安全性を損なうことなく、極めて高速な充電が可能になった」と強調した。
Super Tech Dayのデモンストレーションでは、第2世代Shenxingが1.3MW(メガワット)を超えるピーク充電電力を達成し、わずか30秒の充電で75kmの航続距離を実現したことを紹介した。低温下でも優れた性能を発揮し、−10℃でもわずか15分で5%から80%まで充電可能だという。これは、以前のベンチマークより大幅に改善している。
CATLの21Cイノベーションラボの研究員は「第2世代Shenxingは、全温度範囲と充電状態にわたって強力な性能を発揮する」と強調した。
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