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「充電5分で520km走行」 勢い止まらぬ中国電池メーカーCATLのLFP電池「Shenxing」(2/2 ページ)

CATLが、EV用バッテリーとして第2世代「Shenxing」を発表した。リン酸鉄リチウム(LFP)バッテリーで、Cレートは12と非常に高い。わずか5分の充電で航続距離520kmを実現するという。

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ナトリウムイオン電池の台頭

 CATLは、アップグレードしたリチウムイオン技術の他に、2024年12月にナトリウムイオン電池の新ブランド「Naxtra」の量産を開始したことも発表した。この動きは、電池化学の多様化とリチウム資源への依存の低減という戦略的ビジョンを反映している。

 CATLのR&Dシステム部門のプレジデントを務めるOuyang Chuying氏は「2014年当時、世界のリチウム電池産業はまだ活況を呈していた。しかし、単純な計算式で言えば、リチウムは地殻中にわずか0.006%しか存在しないのに対して、ナトリウムは421倍も豊富である。このことから、ナトリウムを選択するのは必然だった」と述べている。

 Naxtraバッテリーは、極端な温度下での性能や安全性の向上など、いくつかの利点を誇っている。

 ハイブリッド車の航続距離が約200kmであるのに対し、純粋な電気自動車の航続距離は500kmに及ぶ。CATLは、エネルギー密度、安定性、ライフサイクルを改善するために、自己発電型アノード技術や非膨張アノード技術、高靭性構造技術などのナトリウムイオン技術を革新したことを強調した。さらに、ナトリウムイオン電池の生産は、リチウムイオン電池よりも二酸化炭素排出量を削減できるという。

「エネルギーの自由」に向けたビジョン

 CATLの発表は、同社が「マルチコア時代」と呼ぶ広範な戦略の一環であり、さまざまなユーザーニーズに妥協することなく対応した、多様なバッテリーソリューションのポートフォリオを提供するものである。これには、1台の車両内で異なるバッテリーの化学的性質を組み合わせて、航続距離の延長や低温動作といった特定の要件に合わせて性能を最適化する「フリーデュアルパワーバッテリー」が含まれる。

 Ouyang氏は「この覚醒の時代は、エネルギーの世界の根底にある論理を再構築する時だと考えている」と述べ、同社の野心的な長期ビジョンを概説した。「当社はこれを究極の目標と呼んでいる。それは、“エネルギーの自由”を達成することであり、エネルギーが空気のように遍在し、太陽光のようにアクセス可能になることを意味する」

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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