「これ以上ないほど悪い結果」減収減益のローム、最終赤字500億円に:25年度は減収増益予想(2/3 ページ)
ロームの2024年度通期業績は、売上高が前年度比4.1%減の4484億円になったほか、営業損益は前年度の433億円の黒字から400億円の赤字に、純損益は同539億円の黒字から500億円の赤字に転落した。最終赤字になるのは524億円の赤字を計上した2013年3月期以来で、過去2番目の赤字規模だという。
通期業績計画の詳細
2025年度の通期計画では、売上高を前年比1.9%減の4400億円、営業利益を同440億円増の40億円、純利益を同570億円増の70億円とした。
売上高を市場別でみると自動車市場は前年比4.8%減としている。欧州向けを中心にxEV分野ではSiCデバイスの売り上げが伸長すると見るものの、需要低迷に伴う生産調整の継続について「2025年度での回復は不透明」と説明。東氏は、米国政府による相互関税の影響の不透明感を要因として挙げ、「関税によってどうなるか、今期の決算予想もできないという顧客もいるように不透明で、当社としては今期も非常に厳しいという状況で売り上げを見ている」とした。
2024年度に大きく減少した産機市場は前年比2.6%減と見ている。一部顧客で在庫調整が長期化していて上期は調整が続く一方、下期からは徐々に改善に向かうことを見込む。
アミューズメントで「爆発的に売れるもの」に期待
民生市場は前年比11.2%増の成長を見込む。これはアミューズメント分野向けで大きく売り上げが増加することが見込まれるためだ。一方、家電向けでは足元でエアコン向けに駆け込み需要があるものの、年間を通じて調整局面が続くとみている。
記者説明会では、このアミューズメント分野に関し「足元でゲーム機が予想を超え好評で、部材メーカーにも増産要請がかかっているという報道もある。ロームとして上積み効果はあるか、また、増産要請がかかれば生産を増やすことになるのか」と、任天堂が2025年6月に発売予定の新型ゲーム機「Nintendo Switch 2」を念頭に置いたとみられる質問も出た。
東氏は、具体的な顧客や製品への言及は避けつつも、アミューズメント分野で「確かに爆発的に売れるものがある」と述べ、「(顧客が)たぶん当初、非常に少ない生産台数を想定されていて、市場でもすぐに完売するぐらいのところに来ているので、どこまで増やされるのかについてはまだきちんと話はできていないが、大きく上振れるだろうと思っている」と説明。上振れ幅については、今後の顧客の生産計画によるとしつつ「そこは早めに教えてもらい、しっかりと納めていくことが当社の大きな好機の1つだ」と強調した。
この他、通信市場はスマホ向けが年間を通して低調で前年度比18.5%減と見込む。コンピュータ&ストレージ市場は同5.5%減と予想していて、サーバ向けはAIサーバの好調から売り上げ成長を見込むが全体としては低調に推移、SSD/HDD向けは下期から回復するとみている。
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