ルネサスが「インド初」の3nmチップ設計センターを開設:25年末にインドの従業員1000人に
ルネサス エレクトロニクスは、インド政府と半導体分野で提携。併せて、インドにある2カ所のオフィスも拡張した。インドの鉄道・通信・電子・IT大臣であるAshwini Vaishnaw氏は「新施設は3nmチップ設計に取り組むインド初の設計センターであり、インドが半導体技術革新のグローバルリーグに参入するための大きなマイルストーンだ」と述べている。
インドで半導体産業の発展に貢献、存在感を高めるルネサス
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2025年5月14日、インド政府と半導体分野で提携したと発表した。LSIや組み込み半導体システム分野で、インドのスタートアップや教育機関を支援。インドにおける半導体産業の発展に貢献しつつ、インド市場における同社の存在感を高めていく。
ルネサスは併せて、インドに設けている2カ所のオフィスも拡張した。開所式に出席したインドの鉄道・通信・電子・IT大臣であるAshwini Vaishnaw氏は「新施設は3nmチップ設計に取り組むインド初の設計センターであり、インドが半導体技術革新のグローバルリーグに参入するための大きなマイルストーンだ」と述べている。
2件の基本合意書を締結
ルネサスは、インド政府の電子情報技術省(MeitY)が2021年12月から始めた「C2S(Chips to Startup)プログラム」に基づき、YeitY傘下の研究開発期間「先進コンピューティング開発センター(C-DAC)」と、2件の基本合意書を締結した。
その1つが現地スタートアップの支援。これにより、インド政府が掲げる施策「Make in India」に沿った国内製造業の振興と技術改革を促進する。このためルネサスは開発ボードとPCB設計ソフトウェア「Altium Designer」をスタートアップに提供する。
もう1つは教育機関の支援。産学連携を強化することで、学生の革新的かつ製品志向のマインドセットを育成していく。ルネサスは開発ボードとPCB設計ソフトウェア「Altium Designer」の他、「Altium 365クラウドプラットフォーム」へのアクセス、PCB教育やトレーニング機会なども提供していく。
R-Carソリューションを強化
なお、ルネサスは半導体産業の重要拠点である「ベンガルール」(カルナータカ州)と「イノダ」(ウッタル・プラデーシュ州)にあるオフィスを拡張した。ルネサスは、全体売り上げ収益の10%超をインド向けとする目標を掲げている。このため、インドでの提携を進めていて、今回の提携やオフィス拡張もその一環だ。また、2025年末までにインドの従業員数を1000人に増やすことも計画している。
今回拡張したベンガルール新オフィスはインド最大の拠点になる。設計エンジニアなど約500人の従業員が在籍し、同地区での業務を行っている。一方、イノダ新オフィスでは、世界最高水準の高性能コンピューティングソリューションを提供し、現地人材の育成と車載用SoC「R-Car」ソリューションを強化していくという。
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