中国の半導体進化をあなどることなかれ 「逆風」が後押しに:強力な国策で急速に進化(1/3 ページ)
米国による規制に苦しむ中国は、半導体産業において重要な局面を迎えている。設計や製造技術は急速に進歩していて、研究活動も活発化している。厳しい逆風の中で、設計技術、製造技術ともに着実に力を付けている。
中国の半導体市場は、極めて重要な局面を迎えている。中国は、自給自足と急速な国産技術開発に向けた国家主導の積極的な野望を特徴とする。
その強い推進力は、根強い地政学的圧力と重大な技術的障壁に直面しながらも拡大し続けている。市場規模は大きく、2024年には約1828億米ドルに達したと推定され、今後も堅調な成長が続くと予測される。
AIや5G、車載エレクトロニクスなどの主要分野における国内需要の急増により、成長は加速している。外国技術への依存を減らすという戦略的要請は、現在も続く輸出規制と、政府が過度の依存を国家安全保障上の重大な脆弱性と見なしていることの直接的な結果である。
さらに、米国のGeorgetown University(ジョージタウン大学)のセキュリティおよび新興技術センターによると、中国はチップの設計と生産に関して米国の2倍の研究論文を発表しているという。
政府の強力な支援
中国政府は半導体戦略の中核を担っており、「ビッグファンド」のようなイニシアチブや、「中国製造2025」、第14次5カ年計画のような政策を通じて多額の財政支援を行っている。この国家的な取り組みは、完全な国内半導体エコシステムを構築することにより、技術的自立と国際競争力の強化を目指すものである。
このアプローチは独自の経済モデルを反映している。経済学者のKeyu Jin氏は著書『The New China Playbook』で「中国の急成長と短期間での技術向上は、マクロレベルでの国家指導とミクロレベルでの市場メカニズムの組み合わせによって実現されている」とで指摘している。
この独自の融合が、電気自動車の主要プレイヤーになることなどの国家目標に向けたシステム全体の迅速な変更と動員を可能にし、現在は半導体に集中的に適用されている。
欧米の観察筋の中には、これを大規模な国有企業(SOE)に焦点を当てた国家資本主義だと評する人もいるが、より複雑な意味合いを持つ「国家と民間の協力モデル」も登場している。
このモデルでは、堅ろうな制度は確立されていないが、強力な国家能力を活用して、企業と政府機関の密接な相互連携によるメリットが得られる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.