中国の半導体進化をあなどることなかれ 「逆風」が後押しに:強力な国策で急速に進化(2/3 ページ)
米国による規制に苦しむ中国は、半導体産業において重要な局面を迎えている。設計や製造技術は急速に進歩していて、研究活動も活発化している。厳しい逆風の中で、設計技術、製造技術ともに着実に力を付けている。
半導体製造技術が急成長
中国は2024年にウエハー製造装置に410億米ドルを投じ、この分野における世界の購入総額の約40%を占めた。
中国の大手ファウンドリーであるSMICは、先進プロセスノードにおける中国の取り組みを主導している。SMICは7nm世代のプロセス(「N+2」)で大きなブレークスルーを達成し、同技術は、中国のファブレス半導体企業でHuaweiの子会社であるHiSiliconの「Kirin 9000s」チップの製造に使用されている。Kirin 9000sは、Huaweiのスマートフォン「Mate 60 Pro」に最初に搭載された。
ASMLの極端紫外線(EUV)露光装置を利用できないにもかかわらず、深紫外線(DUV)リソグラフィを使用してこのチップを製造できたことは、重要なマイルストーンとなった。
一部のアナリストは、SMICの7nm技術の性能特性は、業界リーダーであるTSMCの5nm製品に匹敵するとも示唆している。SMICはまた、DUVを利用した5nmの生産も進めている。
DUVは現在の最先端ノードの生産を可能にするが、その複雑さやコスト、EUVに比べて低い歩留まりによって、一時的な解決策にとどまっている。中国に独自のEUV技術がないことは致命的なボトルネックであり、先端チップ製造における長期的な競争力を確保するには、独自のEUV技術を開発する必要がある。
中国の半導体製造装置メーカーであるSiCarrierなどの企業は、国産の製造装置を追求しており、DUVベースの5nmソリューションの実現を目指して、より包括的な国内半導体エコシステムの構築する意向を示している。戦略的には重要であるが、商用利用可能な国産EUVの実現は長期的な賭けと見なされており、少なくとも5〜10年は最先端の競争力学を一変させる可能性は低いと考えられる。
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