キオクシアのNAND戦略 「BiCS FLASH」はどう進化するのか:HCF技術にも言及(2/3 ページ)
キオクシアホールディングスの副社長執行役員である太田裕雄氏が、同社の主力製品である「BiCS FLASH」のロードマップやキーテクノロジー、開発中の新メモリソリューションなどについて語った。
HCF技術についても説明
なお、キオクシアHDは2024年12月、国際学会「IEDM」において、水平方向にチャネルを配列することで記憶密度を高める新技術「HCF(Horizontal Channel Flash)」を発表していた。
今回の説明会ではこのHCFの導入時期について質問が出たが、太田氏は「競合メーカーは積層数1000層も可能という話があるが、技術的には当社も積むこと自体は可能と考えている。しかしコストと性能が、エンドユーザーが本当に使用できるレベルに収まるかが、大きな疑問点となる。その際、コンセプトを変えたHCF技術にいずれ移行する必要があるのではないかと、1つの候補として考えている」と説明。時間軸としては、2030年代半ば以降の移行が検討されているという。
BiCS FLASHの今後の技術戦略
太田氏はBiCS FLASHの今後の技術戦略についても概要を語った。
同社は、従来通り積層数を増加し、大容量かつ高性能を実現する製品群に加え、CBA技術を活用することで既存セル技術と最新CMOS技術を融合し、投資コストを抑えつつ高性能を実現する製品群の2軸で開発を推進する方針だ。
1つ目の大容量かつ高性能の製品群については、さらなる積層と平面的な縮小を組み合わせ、高ビット密度/大容量製品として第10世代やその次の世代の製品を開発。エンタープライズ、データセンターSSD市場のニーズに応えていくとした。
2つ目の性能を重視した製品群については、CBA技術を活用し、既存世代のメモリセルと高速化を実現するCMOS技術を組み合わせることで、さまざまな最先端アプリケーションのニーズに対応する第9世代を開発。既存世代のメモリセルを活用によって積層にかかる設備投資を抑えながら、AI搭載のエッジアプリケーションのニーズに応えていく。
太田氏は「この2つの開発戦略によって、最適な投資効率を維持しながら、最先端アプリケーションの高度なニーズに対して競争力のある製品を開発していく」と語った。
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