チップレットを自動車へ 課題は「1万個の接続点」の耐久性:imecが取り組みを加速(2/3 ページ)
自動車では、要求されるコンピューティング能力がますます高まっている。imecはこうしたトレンドを受け、チップレットを自動車に導入するための研究開発を加速させている。ただし、産業向けでは価値を発揮し始めているチップレットも、自動車向けでは大きな課題を抱えている。
チップレットを自動車へ
モノリシックなSoC(System on Chip)は何十年にもわたり、スマートフォンから車両の車載電子制御ユニット(ECU)まで、あらゆるものの動作を支えてきた。しかし、自動運転車やコネクテッドカーにおけるコンピューティング需要が爆発的に増加するにつれ、この従来のアプローチに限界が見えてきた。Plackle氏は「歩留まりという1つの問題で、10億米ドル規模の設計を投げ出すわけにはいかない」と述べている。
チップレットは、1つのパッケージに組み合わせることができる小型のモジュール式処理ユニットで、データセンターや民生機器でその価値が既に証明されている。現在、imecはチップレットを自動車に採用すべきだと考えており、「車載チップレットプログラム(ACP:Automotive Chiplet Program)」によってそれを後押ししている。Plackle氏は「HPC(High Performance Computing)やデータセンター、タブレットなど、他の展開シナリオでもチップレットへの移行が見られる。しかし、自動運転車に必要な性能レベルを見ると、答えは明確だ。自動車には、そのレベルの性能と柔軟性が必要で、それを実現するのがチップレットだ」と述べている。
チップレットの利点には、歩留まり、コスト効率、アーキテクチャの柔軟性の向上や、各チップレットを特定の機能に合わせて最適化できるヘテロジニアスインテグレーションなどがある。しかし、このモデルを自動車に移行するとなると、「過酷な環境で1万個の接続点が15年間耐えられるのか」という新たな疑問が生じる。Plackle氏は、「これは、imecが検証に取り組んでいることの1つだ」と述べている。
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