商用化から40年を迎えたFPGA、次の主戦場はエッジAI:AMD Salil Raje氏インタビュー(1/2 ページ)
FPGAが初めて商用化されてから40年がたった。1985年に初の商用化FPGA「XC2064」を投入したAMDは現在、30億個を超えるFGPA/アダプティブSoCを出荷している。同社のAdaptive and Embedded Computing Groupでシニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーを務めるSalil Raje氏に、FPGAの課題や、これからの注力市場について聞いた。
2025年、FPGAは初の商用化(1985年)から40年を迎えた。「ソフトウェアのように柔軟性のあるハードウェア」というコンセプトで開発されたFPGAは現在、10億米ドルを超える市場となっている(Mordor Intelligenceによる調査)。グローバルインフォメーションが2024年9月に発行した予測によれば、FPGA世界市場は2024年から2030年にかけて年平均成長率(CAGR)9.5%で成長し、2030年には174億米ドルに達する見込みだという。
AMDは、FPGAの商用化40周年を記念したブログを公開、FPGAの成り立ちや、AMDの主要なFPGA製品(Xilinx製品を含む)のリリース時期をまとめた一覧などを掲載している。

初の商用化FPGA「XC2064」。トランジスタ数は8万5000個で、再構成可能なロジックブロックは64個、I/Oブロックは58個だったという 出所:AMDブログ「From Invention to AI Acceleration: Celebrating 40 Years of FPGA Innovation」
AMDのAdaptive and Embedded Computing Groupでシニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーを務めるSalil Raje氏は、今回の40周年を機に、各メディアからのメール取材に答えた。
FPGAはさらなる統合へ
――FPGAの商用化から40周年を迎えました。
Salil Raje氏 FPGAの40周年は、AMDにとってだけでなく、半導体業界全体にとって重要な節目である。1985年にRoss FreemanがFPGAを発明した際、彼はソフトウェアのように柔軟なハードウェアを構想していた。そのビジョンは今日まで受け継がれ、さらに発展してきた。現在では、世界中で30億個を超えるAMD製のFPGAおよびアダプティブSoC(System on Chip)が出荷されており、その多くが今なお稼働中だ。この革新を切り開いてきたことを誇りに思っており、今後もその進化をけん引していく。
――今後、AMDのFPGA(アダプティブコンピューティング技術)はどのように進化していきますか。
Raje氏 われわれは、プログラマブルロジックとCPU、GPU、AIエンジン、DSP、ビデオコーデック、広帯域メモリ(HBM)のような先進メモリを1つのパッケージ内で組み合わせる、より“深い統合”に注力している。ロードマップでは、チップレットベースの設計や3次元(3D)パッケージングを重視しており、柔軟性の向上とコストの低減を目指す。今後はエッジAIの分野で勢いが加速するとみている。アダプティブSoCは、消費電力と遅延に制約のある環境でのリアルタイムAI推論を実現する上で、重要な役割を果たすのではないか。
――競合のAlteraはIntelからスピンオフしました。AMDのFPGA事業の立ち位置についてお聞かせください。
Raje氏 AMDは、(旧Xilinx時代も含め)過去25年間連続でプログラマブルロジック分野のマーケットシェアトップを維持している。ローエンドのFPGAから高性能アダプティブSoCまで、幅広い製品群をそろえており、市場において独自の立ち位置を確立している。顧客数は7000以上に上り、強力なロードマップを有している。特に、AI機能をアダプティブプラットフォームに直接統合することで、今後もリーダーシップを発揮していけると確信している。
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