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インタビュー

商用化から40年を迎えたFPGA、次の主戦場はエッジAIAMD Salil Raje氏インタビュー(2/2 ページ)

FPGAが初めて商用化されてから40年がたった。1985年に初の商用化FPGA「XC2064」を投入したAMDは現在、30億個を超えるFGPA/アダプティブSoCを出荷している。同社のAdaptive and Embedded Computing Groupでシニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーを務めるSalil Raje氏に、FPGAの課題や、これからの注力市場について聞いた。

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「エッジAI」に向くFPGA

――ブログではエッジAIの事例がいくつか紹介されています。なぜFPGAがエッジAIで活躍するのでしょうか。

Raje氏 FPGAおよびアダプティブSoCは、低遅延、省電力、リアルタイム処理能力に優れているので、エッジAIに非常に適している。データセンター向けのAIとは異なり、エッジ環境では、コンパクトでスケーラブル、かつ決定論的なソリューションが求められる。当社のデバイスは、センサーインタフェース、AIエンジン、演算素子を1パッケージに統合しており、エッジでのエンドツーエンドのAIアクセラレーションを可能にしている。

設計の複雑さと使い勝手が課題

――FPGA技術や業界の現在の課題について教えてください。

Raje氏 最大の課題は、設計の複雑さと使い勝手だ。従来のFPGA設計には高度なハードウェアの専門知識が求められていた。そのため、われわれは「Vivado」や「Vitis」といったソフトウェアツールに積極的に投資してきた。こうしたツールは開発を簡素化し、高水準のプログラミングを支援して、市場投入までの時間を短縮するのに役立っているのではないか。もう1つの課題は、プログラマビリティと電力およびコストのバランスだ。当社は統合化やパッケージングの革新によってこれに対応している。

――FPGA設計は難しいというのはよく聞きます。ここではVitisやVivadoが鍵になると思いますが、こうしたツールのロードマップを教えてください

Raje氏 VivadoおよびVitisでは、開発をさらに簡素化する機能を強化し、AIやヘテロジニアスコンピューティングへの対応を拡充している。Vitisの最新のアップデートでは、組み込みC/C++や機械学習フレームワークへの対応が強化され、組み込みシステム向けのアダプティブSoC「Versal」の設計支援も強化されている。今後のロードマップでは、抽象度をさらに高めていく他、業界標準のツールチェーンとの統合、新しいデータ形式やAIモデルへの対応などを重視していく。

――AMDのFPGA事業の強みについて、あらためてお聞かせください。

Raje氏 当社の強みは、スケール、統合性、ソフトウェアにある。AMDは、AI PCから組み込みシステムまでをカバーするアダプティブSoCを提供できる点でユニークな存在だ。エッジからデータセンターまで、共通のツールとアーキテクチャで対応しており、一貫した開発体験を提供している。EDAの専門性やIP(Intellectual Property)ポートフォリオも、競合が容易には参入できない技術を持っていると自負している。

――FPGA設計者に向けたメッセージをお願いします。

Raje氏 皆さんの探求心や粘り強さに感謝している。過去40年間にわたり、FPGA設計者こそが、ハードウェアの可能性を切り開いてきた。これからは、エッジAIが新たなフロンティアになる。次世代のインテリジェントシステムを作る上では、皆さんの取り組みが極めて重要になると確信している。

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