「N2」SRAMの歩留まりは90%以上 技術開発も好調のTSMC:A16/A14の開発も進む(2/2 ページ)
TSMCは同社顧客向けの技術発表会「TSMC 2025 Japan Technology Symposium」を開催。TSMC ジャパン 社長の小野寺誠氏、TSMC Senior Vice President 兼 Deputy Co-COO(副共同最高業務執行責任者)のKevin Zhang氏が同社の先端プロセスに関する取り組み状況などについて語った。
2025年後半量産の「N2」、SRAMの歩留まりは90%以上
Zhang氏は「半導体マーケットのバズワードが『AI』であることは間違いない。AIが半導体業界を抜本的に変えてきている」と指摘し、「私は約30年この業界にいるが、こんなに興奮する時期はなかった」と述べた。
TSMCは2030年までに半導体市場が1兆米ドルに達すると予測している。中でも、高性能コンピューティング(HPC)が市場全体の45%、スマートフォンが同25%、自動車が同15%、IoTが同10%を占めて成長をけん引するという。こうした需要を受け、TSMCではエネルギー効率に優れた演算性能と接続性を備えた「N4」プロセス、「N3」プロセスと「N6RF」プロセスが堅調だ。また、データセンターの急増で5nmおよび3nm設計が進展し、「CoWoS」および「SoIC」パッケージングによる性能向上が加速しているという。
2nm世代としては、「N2」プロセスは2025年後半の量産開始に向けて準備が進んでいるという。Zhang氏は「256MバイトのSRAMの平均歩留まりは90%以上だ」と自信を見せる。「N2P」「N2X」プロセスも順調に開発中だとした。
2028年に量産開始予定の「A14」プロセスには新技術である「NanoFlex Pro」を採用し、N2と比較してロジック密度が20%以上、消費電力当たりの計算速度が最大15%向上する。スマホのAI機能を強化するものになる見込みだ。
2026年後半に量産開始を予定する「A16」プロセスは、「業界最高クラス」(同社)の背面電力供給性能と高いロジック密度で、データセンター向けAI/HPC製品が求める厳格な信号配線と電力供給要件に対応する。
Zhang氏は「AI需要の拡大の中で最も重要なのはエネルギー効率と演算能力だ。TSMCは将来のニーズに合った形で先端ロジックの開発を進めている。TSMCはロジックだけに注力するわけではなく、プラットフォームソリューションを提供し、顧客が魅力あるデバイスを作るサポートをしていく」とした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
次はデータセンター 「スマホ以外」にも手を広げるQualcomm
Alphawave Semiを24億米ドルで買収することに合意したQualcomm。スマートフォンのアプリケーションプロセッサで確固たる地位を築いている同社の次の狙いは、データセンターだ。TSMCがドイツに「欧州設計センター」新設へ、25年7〜9月に
TSMCはオランダで開催したイベントにおいて、ドイツ・ミュンヘンに「European Design Center(欧州設計センター)」を設立すると発表した。2025年第3四半期(7〜9月)に開設し、欧州の顧客企業をサポートしていく予定だ。TSMCは誰のもの? 米国やAI偏重で懸念される「1本足打法」
TSMCの2025年第1四半期(1〜3月期)は好調で、同四半期としては過去最高を更新した。だがTSMCの売り上げを分析してみると、そこには明らかな「異変」があることが分かる。ファウンドリー事業への野心燃やすIntel 鍵は「18A」
IntelのCEOにLip-Bu Tan氏が就任して初めてとなる四半期決算が行われた。決算は当初の予想を上回る結果だったが、Intelが直面する深刻な状況に変わりはない。改善の鍵の一つとなるのがファウンドリー事業だ。TSMCが1.4nm世代プロセス「A14」を発表、28年に量産開始
TSMCが、最新の1.4nm世代のプロセス「A14」を発表した。開発は順調に進んでいて、歩留まり向上は「予定を上回るペース」と説明。2028年の量産開始予定だとしている。