「やっぱりルネサスだと言われないと」 柴田CEOが原点回帰を強調:時価総額6倍は5年延長(1/2 ページ)
ルネサス エレクトロニクスは2025年6月26日に経営戦略説明会を実施。社長の柴田英利氏は、組み込みプロセッシングという同社のコアの強みを磨くべく「基本に立ち戻る」ことを強調した。
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2025年6月26日、経営戦略説明会をオンラインで開催。成長戦略を見直し、「2030年には時価総額を2022年比で6倍」としていた目標の達成を5年先送りすることを発表した。ルネサス社長兼CEOを務める柴田英利氏は冒頭、基本に立ち返りしっかりと内部固めをすると強調した。
ルネサスは2022年の戦略説明会で、2030年に「組み込み半導体ソリューションのサプライヤーとしてトップ3位内に入る」「売上高200億米ドルを大きく超える」「ルネサスの時価総額を、2022年比で6倍に引き上げる」という3つの目標を挙げていた。これらの達成時期を2035年に変更する。
柴田氏は短期的な見通しとして、先行き不透明な国際経済や、より“地産地消”の動きが高まる中でのサプライチェーンの変化を挙げる。そうした状況を受け、ルネサスのコアの強みである組み込みプロセッシング/組み込みコンピュートの技術にさらに磨きをかける「Back to basics(基本に立ち戻る)」の姿勢と、それを実現するための柔軟な「Adjustment(アジャストメント/調整)」が必要だと主張した。
「どんな状況でもやっぱりルネサス」
目標達成を5年後に変更したことに加え、業績目標については売上総利益率を55%、営業利益率を30%としていたが、前者は据え置き、後者は25〜30%と幅を持たせる。「基本に立ち返り、将来の成長を確実にするために、ハードウェアおよびハードの周辺領域への投資を増やす」(柴田氏)ためだ。
柴田氏は「欧米を中心とした組み込み半導体の世界では、長期的にはルネサスが十二分に存在感を維持し、強めていけると考えていたが、それは浅かった」と述べる。中国メーカーの競争力が急速に高まる中で「どのような状況でもやっぱりルネサスだよね、と言っていただけるような確固たる強みを研ぎ澄ませていかなければならない」と強調した。
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