「やっぱりルネサスだと言われないと」 柴田CEOが原点回帰を強調:時価総額6倍は5年延長(2/2 ページ)
ルネサス エレクトロニクスは2025年6月26日に経営戦略説明会を実施。社長の柴田英利氏は、組み込みプロセッシングという同社のコアの強みを磨くべく「基本に立ち戻る」ことを強調した。
「Renesas 365」が鍵に
そのためには、ハードおよびハード周辺が不可欠とする。デジタル化を掲げ、電子設計の簡素化を目指す。第1歩としてAltiumの製品をオープンなプラットフォームへと転換していく。2026年初頭から提供を始める「Renesas 365 Powered by Altium」では、「Altium 365」プラットフォームをベースに、ルネサスの幅広い半導体製品ポートフォリオなどを組み合わせる。これにより、開発チーム間の連携や、適切な半導体/ソリューションの選択、デジタルデータの統合管理が可能になる。
集中的に投資する技術についても、自動車向け事業、産業・インフラ・IoT事業向けのそれぞれで示した。両方の事業領域でまたがって投資を加速させるのは窒化ガリウム(GaN)パワー半導体とRenesas 365 Powered by Altium、NPU(Neural Processing Unit)/AIだ。ルネサスは、次世代パワー半導体では炭化ケイ素(SiC)パワー半導体の開発を中止したことに加え、10年間のSiCウエハー供給契約を結んだ米Wolfspeedは経営難に陥るなど、苦境に立たされている。GaNについては、2024年6月に買収したTransphormの技術をベースに成長加速を狙う。
柴田氏は「効率性、生産性を高めて、目的に沿ってやるべきことをやっていく。組み込みプロセッシング、組み込みコンピュートの強みを差別化するための周辺技術に、さまざまな取り組みを集中させる」と語り、「意志ある踊り場」を通って、将来への成長を確実なものにすると強調した。
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