GFによる買収も「MIPSのアイデンティティーは維持できる」:MIPS CEO Sameer Wasson氏(1/3 ページ)
GlobalFoundries(GF)がMIPSを買収する。MIPSは過去にも何度か買収を経験してきた企業だ。今回のGFによる買収をどう考えているのか。米国EE TimesがMIPS CEOのSameer Wasson氏に聞いた。
GlobalFoundries(以下、GF)は2025年7月8日(米国時間)、MIPSを買収することで最終合意したと発表した。買収は、必要な規制当局の承認の取得など、慣習的な完了条件の達成を条件とし、2025年後半に完了予定だという。
MIPSは、これまでにも何度か買収を経験してきた企業だ。かつては、ゲーミング向けや車載向けにRISCベースのプロセッサを提供していたが、2022年に、RISC-VべースのプロセッサIP(Intellectual Property)やソフトウェアツールを、特にエッジAI向けのさまざまなアプリケーションのリアルタイムコンピューティング向けに提供する方向に注力するようになった。
両社は正式発表において「今回の戦略的買収により、GFのカスタマイズ可能なIP製品ポートフォリオを拡大し、プロセス技術をIP/ソフトウェア機能で差別化できるようになる」と述べている。
GFとMIPSは、今回の取引額やその他の詳細については明らかにしていない。しかし重要なポイントは、MIPSがアイデンティティーを維持し、GFの傘下でMIPSとして引き続き運営していくという点だ。
MIPSのCEOであるSameer Wasson氏は、米国EE Timesとの独占ブリーフィングにおいて「MIPSはGFの傘下に入ることで、より優れた信頼性と安定した親会社を確保し、これまで活用できなかった新たなチャンスを得られるようになる」と説明している。
Wasson氏は「民間のRISC-Vプロセッサメーカーは、重大な課題に直面している。MIPSはGFの傘下に入ることで、ここ数週の間に一部のRISC-Vメーカーに見られたような企業の長期的な生存能力について心配する必要なく、顧客とのエンゲージメントを深められるようになる」と述べる。
同氏はインタビューで「われわれは今回のチャンスにとても興奮している。顧客にとって最も大きな変化となるのは、MIPSの既存の取り組みがさらに加速していくという点ではないだろうか」と指摘する。
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