GFによる買収も「MIPSのアイデンティティーは維持できる」:MIPS CEO Sameer Wasson氏(2/3 ページ)
GlobalFoundries(GF)がMIPSを買収する。MIPSは過去にも何度か買収を経験してきた企業だ。今回のGFによる買収をどう考えているのか。米国EE TimesがMIPS CEOのSameer Wasson氏に聞いた。
エッジAI向け「Atlas」を広げるチャンスに
MIPSは2025年初めに、オープンなRISC-V仕様をベースとしたプロセッサIP製品を拡張し、リアルタイム処理とアプリケーション処理、専門的なAIエッジ処理コア向けに設計されたコンピューティングコアスイートである「Atlas」ポートフォリオをリリースした。さらに、設計サイクルで性能、消費電力、面積を「シフトレフト」に最適化できる仮想プラットフォーム「Atlas Explorer」も発表している。
「そして今、MIPSがGF傘下に入ることで、その全ての取り組みを生かせるような独自の可能性が広がる。GFが世界中に保有する強力な製造フットプリントと販売チャネルとを組み合わせることで、顧客エンゲージメントを高められるだけでなく、追加投資を行うことにより、こうした製品の開発ペースを加速させられる」(Wasson氏)
MIPSは40年の歴史の中で、さまざまな企業に買収されてきた。今回はこれまでとどう違うのか尋ねると、Wasson氏は「エッジAIの展開が転換点にあるため、今回の買収はMIPSにとって新しい大きな機会となる」と答えた。
Wasson氏は「MIPSは過去にも買収された経験がある。その歴史を振り返ると、他に存在しない技術や興味深い市場が誕生した時期に買収されている。最初はグラフィックスで、その後にスマートフォンが続いた。今回も類似点はあるが、新しい点も多い。エッジAIの機会は、影響力と潜在的な顧客基盤の両面において、MIPSがこれまで経験したことのないほど広範になっている。これは、私たちを取り巻くあらゆるものが時間とともにますますインテリジェント化しているからだ。そこにエッジAIの最大の機会があると考えている。MIPSの技術はエッジAIに適しており、GFとMIPSの提携によってこの機会を追求できると確信している」とコメントした。
半導体への関心の高まりも「有利に働く」
さらに同氏は、次にように述べている。「もう1点付け加えると、半導体への関心が世界的に広がっている。これまでは北米や日本、中国、欧州が中心だったが、現在はより広範かつグローバルに、数多くの卓越した研究拠点や研究開発センターが展開されている。まさにグローバルであり、これが有利に働くと考えている。グローバルな顧客にアプローチできるからだ」
「そして、導入の障壁を減らす取り組みを継続できれば、現時点では顧客が存在しない地域でも顧客を獲得できるだろう。そうした地域は、TAM(獲得可能な最大市場)の規模が大きく広範であるため、MIPSをより多くの地域に、量だけでなく幅広く、展開できると考えている。GFの規模の大きさを活用して、これら2つの選択肢に挑めるようになるので、今回の買収契約は価値あるものになると期待している」と同氏は主張した。
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