検索
ニュース

中国の巨大市場を無視できず 米がAIチップ規制強化を撤回NVIDIAが「H20」の出荷再開へ(1/2 ページ)

NVIDIAは中国へのAI GPUの出荷を再開する。中国市場はNVIDIAに数十億米ドルの収益をもたらす可能性がある。米国による先端AI半導体の対中規制は、業界からは不評で「厳しすぎる」との声が上がっていた。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 NVIDIAは中国へのAI GPUの出荷を再開することを明らかにした。不評だった輸出管理規則強化の方針を、米トランプ政権が撤回したことを受けて表明した。具体的には、中国専用の「Hopper」世代のSKU「H20」である。米国政府がバイデン政権によって導入された以前の規制を見直している間、出荷が制限されていた。業界では、この規則は必要以上に厳しいという見方が多かった。

 NVIDIAによると、GPUなどのAIチップを中国に出荷するには、引き続き産業安全保障局(BIS)からのライセンスが必要だというが、同社は「政府からこれらのライセンスが付与されるという保証を得ている」と述べている。

 同社のウェブサイトのブログによると、NVIDIAはH20を中国の顧客に再販するための申請を行っているという。同ブログには、「米国政府はNVIDIAに対し、ライセンスが付与されると保証しており、NVIDIAは間もなく出荷を開始できると期待している」と記されている。

NVIDIA CEO、Jensen Huang氏 出所:NVIDIA
NVIDIA CEO、Jensen Huang氏 出所:NVIDIA

 ブログによると、NVIDIAのCEOを務めるJensen Huang氏は7月7日週にワシントンD.C.を訪問し、7月14日週は北京に滞在して、中国政府や業界関係者と「世界中の研究者は、全ての人々の利益のために安全でセキュアなAIをどのように推進できるか」について議論したという。

 中国市場は、NVIDIAに数十億米ドルの収益をもたらす可能性がある。Huang氏は2025年5月にStratecheryポッドキャスト(Ben Thompson氏が運営するテクノロジー業界の分析および洞察を提供するプラットフォーム)で「規制の変更の結果、当社は150億米ドルの売り上げを断念せざるを得なかった」と述べている。同社はH20の55億米ドル相当の在庫を減価償却したが、現在は再販可能になっていると思われる。

 「中国へのH20の輸出を規制するというチェスの一手で、中国のAI能力を遮断できると考えた人は、全くの無知だ」とHuang氏はStratecheryで語っている。

 中国へのGPU(および全てのAIチップ)の出荷は、トランプ政権が、前政権が実施したAIチップの販売規制の更新計画を中止して以来、保留されていた。この規則は、中国への転売の可能性がある国への出荷の厳格化を目的としたものである。

 トランプ政権は当時、規制をより簡易的なものに変更する意向を示したと報じられていた。現在どのような規制が適用されているのか、今後どのような規制が導入されるのかは、まだ不明である。

 この戦略の変更は、2025年5月にHuang氏がホワイトハウスを訪問した際に「NVIDIAは、次世代のAIハードウェアシステムの少なくとも一部を米国で製造する」と述べたことを受けて行われたものである。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る