「AppleがSamsungから半導体調達」報道、ソニーの反応は:25年Q1決算は増収増益(2/2 ページ)
ソニーグループ(以下、ソニー)が2025年度第1四半期(2025年4月〜6月)業績を発表した。会見では、「AppleがSamsung Electronicsからイメージセンサーを調達する予定」という一部報道に関連する質問が上がった。
グループでも過去最高を更新、関税の影響は?
金融事業を除くグループの2025年度第1四半期業績をみると、I&SS分野の他、ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野および音楽分野での増収から、売上高は前年度比2%増の2兆6216億円、営業利益は同36%増の3400億円とそれぞれ過去最高を更新。純利益も同23%増の2590億円となった。
陶氏は「当四半期は、G&NS、音楽、I&SS分野を中心に利益成長を継続し、 第五次中期経営計画で掲げた経営数値目標の達成に向け、順調な進捗を示すことができた。一方で、第2四半期以降は、米国追加関税など事業環境の不確実さがより顕在化するものとみている。リスクに備えながら、変化を先取りする事業運営に注力していく」と語った。
金融事業を除くグループの2025年度通期予想については、売上高は前年度比3%減の11兆7000億円で据え置いたが、米国政府による相互関税の影響の試算更新によって、2025年5月時点の予想比で営業利益は500億円増の1兆3300億円、純利益は400億円増の9700億円に上方修正した。
関税の影響は前回見通しでは1000億円程度のインパクトとしていたが、今回の試算ではそこから300億円減の700億円程度になっているという。内訳としてはG&NS、ET&S、I&SSの各分野でそれぞれ200〜300億円程度の影響とみている。なお第1四半期はI&SS分野では特にインパクトを受けず、G&NS、ET&Sの2分野で計100億円強のインパクトとなった。
今回の関税影響の試算は2025年8月1日時点で発表されている関税率に基づいたものだ。陶氏は「追加関税を巡る状況は、この数週間で大きく進展が見られたが、品目別関税などいまだ流動的な部分も残っている。2025年度を通じた影響と対応については、複数のシナリオをもって注意深く見極めていく」と説明した。
直近では米国のトランプ大統領が半導体に約100%の関税を課すと表明したことが報じられたが、陶氏は「関税については日々変化がある。当社は正式に発表されたものに基づいて、間接/直接的な影響を今後も精査していく」とコメントした。なお、ソニーの半導体部品自体の米国への直接的な輸出については「非常に限定的」としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
2024年のイメージセンサー市場もソニーがトップ、高まる中国の存在感
中国のシェアは19%に。26年度には世界大手の9割が採用、黒字化も 本格化するソニーの車載イメージセンサー
最初期の厳しい環境の話が印象に残っています。センサーで微細プロセス、ロジックも12nm導入へ ソニーのイメージセンサー戦略
ソニーセミコンダクタソリューションズがオンラインで合同インタビューに応じ、今後導入を計画する先端プロセスについて、センサーで新開発の微細プロセスを採用するほか、ロジックで12nmプロセスも導入するといった詳細を明かした。微細化前倒しや3層積層の強化……「市場で勝ち切る」ソニーの半導体戦略
イメージセンサー市場において「勝ち切る」と目標を掲げ、技術力強化と成長投資を進めるソニーセミコンダクタソリューションズ。今回、同社社長、指田慎二氏ら幹部らが市場の見通しや事業戦略などを語った。高解像度で「最速」の車載用SPADセンサー、ソニーはいかに実現したか
ソニーセミコンダクタソリューションズが自動運転の本格化に向けて、車載センサーの大幅な性能向上を実現した新たに開発した車載LiDAR向けの積層型dToF方式SPAD距離センサーは、高解像度と「最速」(同社)のフレームレートを両立、ポイントレートは2500万ポイント/秒を達成している。今回、開発者に話を聞いた。イメージセンサー金額シェア60%目標「数年遅れる」、ソニー半導体
ソニーグループは、これまで掲げてきたイメージセンサーの金額シェア目標が数年遅れる見通しだと明かした。「2025年にシェア60%」を目標として掲げていたが、この目標が数年遅れる。