Intel低迷でSamsungが笑う? パッケージングのエース級人材が移籍:有望スタートアップも続々設立(2/2 ページ)
Intelの業績低迷で、人材の流出が相次いでいる。Wall Street Journalの報道によると、Intelの半導体パッケージングの専門家が、ファウンドリー事業の最大のライバルであるSamsungに移籍するという情報が明らかになった。
「離職率の低さで停滞」を打破するチャンスにも?
これら2社のスタートアップに関する説明は、Intelが組織構造を平坦化したことや、それに伴う人材流出の危機が、いかに有望な新しいスタートアップの設立へとつながったかを示す事例証拠だといえる。Intelを去った実績あるエンジニアやエンジニアリングマネジャーたちは、長年培ってきた専門知識を新規事業において活用し、急激に変化する半導体業界に対応しているのだ。
これはある意味、ある調査での「Intelは、離職率が非常に低いために惰性的になり、世界クラスのエンジニア/マネジャーを確保しているにもかかわらず、新しいアイデアの注入が妨げられている」という分析に対する解毒剤にもなる。この調査では、Intelに15年以上勤務し、他社での勤務経験が全くない社員がいるということが指摘されている。
ここで言及すべきは、Intelが最近、25年の実績を持つ販売部門のベテランであるGreg Ernst氏をCRO(Chief Revenue Officer:最高収益責任者)に任命したのをはじめ、4人のシニアエグゼクティブを迎え入れたことだ。また、Cadence Design Systemsから来たSrinivasan Iyengar氏は、Intelのカスタムチップ設計部門を率いていくという。
AIチップエンジニアリングの新たな責任者であるJean-Didier Allegrucci氏は以前、OpenAIのCEOでああるSam Altman氏が支援する半導体スタートアップのRain AIに勤務していた。そして、GoogleでモバイルSoCの設計を指揮したShailendra Desai氏が、AIファブリックおよびネットワーク担当バイスプレジデントに任命された。
かつてスピードと実行力の代名詞だったIntelは、今や破壊的なサイクルの真っ只中にあり、機敏でスリムな組織になるために人員削減を余儀なくされている。優秀なエンジニアを失うことは、競合他社だけでなく新興企業にとってもプラスとなる可能性がある。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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