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「あえてレガシー半導体」のSkyWater Infineon工場買収で生産能力4倍に米国のサプライチェーン強化にも(2/2 ページ)

米国の半導体ファウンドリーSkyWater Technologyは、米国テキサス州オースティンにあるInfineon Technologiesの工場を買収し、生産能力を4倍に拡大した。レガシー半導体の生産に注力することで、「脱アジア」を進める米軍などのニーズに応える計画だ。

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顧客と提携したプロセス構築で「TSMCと差別化」

 SkyWaterは「サービスとしての技術の提供に注力することで、TSMCのようなはるかに大規模なファウンドリーとの差別化を図る」としている。同社によると、この戦略は着実に支持を集めつつあるという。

 同社はGoogleと長年にわたる関係を築いていて、さまざまなプロジェクトで提携してきたという。Miller氏は「これまで最もオープンに語ってきたのは、数年前にミックスドシグナル技術向け初のオープンソースプロセスデザインキット(PDK)を開発したことだ。当社は長年にわたって複数のプロジェクトでGoogleと提携してきた」と述べている。

 SkyWaterは、自社が量子ハードウェアのイノベーションをサポートする主要なファウンドリーになったと確信しているという。

 Miller氏は「当社には数多くのプログラムがある。公表できるのはごく一部だが、D-WaveやPsiQuantum向けの他、いくつかのプログラムがある。これは、成熟したインフラに異なるビジネスモデルを適用することが、最先端のイノベーションを推進する上でいかに有効であるかを示す実例だ」と述べている。

 SkyWaterの研究分野は、ほとんどが超伝導とフォトニクスだ。

 Miller氏は「当社は、超伝導膜の開発や特定の仕様に合わせた光導波路の開発が必要な顧客を支援している」と述べる。「顧客と緊密に連携し、アーキテクチャコンセプトを策定した上で、そのデバイスの製造に使用できるプロセスフローを設計する。これは、成熟した認定済みのCMOSフローに基づく従来のファウンドリー業務とは明確に異なる。多くの場合、ルールは存在しない。標準もデバイス仕様もない。私たちは顧客と共にプロセスを構築していくのだ」

「脱アジア製」を進める米軍

 SkyWaterは、米軍がセキュリティ上の脆弱性を抱えるアジア製チップの削減を進めている中、同社のテキサス工場が役立つと期待している。

 「運用可能な新たなミッションシステムは、どれもマイクロエレクトロニクスへの依存度が高まっている」とMiller氏は述べた。「国防総省のミッションシステムに組み込まれる多くの部品は既製品から調達されていて、その大部分は中国と台湾で生産されているものだ。これは正しいことだろうか? 多くの場合、脆弱性をもたらすだろう。この新たな生産能力、つまり今回の契約を通じて市場に投入されるIP(Intellectual Property)は、将来の状態に応じたソリューションとなる」

 Miller氏は「先端ノードでない半導体の多くは、偽造されたり、何らかの形で侵害されたりする可能性がある。それはかなり心配だ」と述べた。

【翻訳:滝本麻貴/田中留美、編集:EE Times Japan】

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