東芝D&S、中SICCとSiCパワー半導体用ウエハーで連携:品質向上、供給拡大に向けて基本合意
東芝デバイス&ストレージは2025年8月22日、中国の炭化ケイ素(SiC)ウエハーメーカーSICCとSiCパワー半導体ウエハーに関するビジネス上の連携に向けた基本合意を発表した。SiCパワー半導体の特性向上や品質改善および、安定的なウエハーの供給拡大に向けた連携を実施する。
東芝デバイス&ストレージ(以下、東芝D&S)は2025年8月22日、中国の炭化ケイ素(SiC)ウエハーメーカーであるSICCと、SiCパワー半導体ウエハーに関するビジネス上の連携に向けた基本合意を行ったと発表した。
具体的にはSICCが開発、製造するSiCウエハーに関して、SiCパワー半導体の特性向上や品質改善および、安定的なウエハーの供給拡大に向けた連携を実施する。詳しい取り組みについては今後、両社で協議していくとする。
SiCデバイス開発の加速にはウエハー技術の改良も必要
パワー半導体は電気機器の省エネルギー化やカーボンニュートラルの実現に不可欠なため今後も継続的な需要拡大が見込まれる。中でもSiCパワー半導体は電気自動車など高温環境下での動作が求められるため、電力効率に加えて信頼性や品質の安定性が課題になっている。
そうした課題を解決するには、デバイス自体の改良に加え、SiCウエハー技術の改良も必要になる。東芝D&Sはリリースで「SiCウエハーの開発、量産技術においてグローバルなリーダーシップを有するSICCとの具体的な連携が実現した際には、各用途に最適なソリューションの提案が可能となり、事業拡大の加速が期待できる」と述べている。
SICCも、今回の連携によりSiCパワー半導体における要求事項を把握することで、SICC製ウエハーの品質および信頼性の向上を目指すとする。
なおSiC分野は現在、電気自動車市場の不振などから、低迷が続いている。直近ではWolfspeedが2025年6月、米連邦破産法第11章の適用を申請したと発表した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
RC-IGBTとSiC、ダイでもモジュールでも 東芝の車載パワー半導体
東芝の欧州現地法人であるToshiba Electronics Europeは、世界最大規模のパワーエレクトロニクス展示会「PCIM Expo&Conference 2025」で、逆導通IGBT(RC-IGBT)搭載の2in1両面冷却モジュールや2in1のSiCモジュールのサンプルおよび、それぞれのベアダイなどの電動車(xEV)インバーター向け製品を公開。この市場をフルラインアップで攻める姿勢を示していた。高温環境下でオン抵抗20%減、東芝のSiCトレンチMOSFET
東芝デバイス&ストレージ(東芝D&S)は、高温環境下での動作が求められる電気自動車(EV)や再生可能エネルギーなどの電力変換用途に向け、信頼性と効率の向上を可能にする「炭化ケイ素(SiC)トレンチMOSFET」と「SiCスーパージャンクションショットキーバリアダイオード(SJ-SBD)」を開発した。東芝D&S、姫路の車載パワー半導体後工程新棟が完成
東芝デバイス&ストレージの姫路工場(兵庫県太子町)で建設していた車載パワー半導体後工程新製造棟が完成した。今後装置の搬入を進め、2025年度上期から本格的な生産を開始する予定だ。SiCパワーデバイス市場は年率20%で成長、30年に103億ドル規模に
フランスの市場調査会社Yole Groupによると、SiCパワーデバイス市場は2024年から2030年まで年平均成長率(CAGR)20%で成長し、2030年には103米ドル規模に拡大する見込だという。「業界初」中国SICCが300mmのSiC基板を発表
中国のSiC基板メーカーSICCが、「業界初」となる300mmのSiC基板を開発した。ドイツ・ミュンヘンで開催された欧州最大級のエレクトロニクス展示会「electronica 2024」および併催された「SEMICON Europa 2024」で発表した。