Xiaomi 15S Proを分解、10年かけて磨き続けた半導体開発力:この10年で起こったこと、次の10年で起こること(96)(1/4 ページ)
今回は、創立15周年を迎えたXiaomiのハイエンドスマートフォン「Xiaomi 15S Pro」を取り上げる。Xiaomiが独自開発した3nm世代適用チップ「XRING O1」を搭載した機種だ。
3nmチップが続々と中国製品に搭載
2025年になって、半導体業界を取り巻くニュースは非常に活発になってきた。米中間の問題、関税問題、Intelの方向性といった具合だ。さらに、AGI(汎用人工知能:Artificial General Intelligence)に向かう投資などでは、過去にない巨額数字が飛び交っている。
日々変化するニュースは一通り目を通しているが、ニュースの要約や解説は他に任せ、今回は2025年5月に中国で発売されたXiaomiのハイエンドスマートフォン「Xiaomi 15S Pro」を取り上げる。この製品には、上記米中間問題を象徴する、中国が設計した最新の3nm世代プロセッサが搭載されているからだ。2024年後半から、中国の最終製品にはTSMCの3nmノードで製造したチップが続々と搭載されている。Qualcommの「Snapdragon 8 Elite」やMediaTekの「DIMENSITY 9400」やIntelの「Lunar Lake」などだ。日本のネット通販でも購入できる2万円台の製品にも、中国メーカーが開発したTSMC 5nm製造チップが多数溢れている。巨大な製造拠点となっている中国では直接3nmや5nmを開発しなくても、米国および台湾が開発した先端チップを活用するユーザーが集結しているからだ。先端製造チップの消費地として中国の位置付けはますます高まっている。そんな中、中国Xiaomiは、自社設計の3nmチップを開発しTSMCで製造し、Xiaomi 15S Proに搭載したのである。
15周年を迎えたXiaomiのハイエンドモデル
図1はXiaomi 15S Proの様子である。Xiaomiは2010年に創業し、2025年には創業15周年を迎えたので、記念モデルがいくつか同時に発売されている。その中の一つが15S Proだ。Xiaomiは例年年末に、翌年のフラグシップモデルの販売を開始する。現在のフラグシップXiaomi 15シリーズは、2024年第4四半期(4Q)に発売され、内部にはQualcomm開発、3nm製造のSnapdragon 8 Eliteが搭載されている。ほぼ半年後に今回報告の15S Proが追加販売されている。外観やカメラ機能などは、Xiaomi 15 Proも15S Proもほぼ同じものになっている。
図2は内部基板の様子である。基板は2層構造。プロセッサ基板、通信基板、端子およびIMU基板と3つに分かれている。カメラはトリプル50MP(メガピクセル)構成。Wide、Ultrawide、Telephoto全て50MPのCMOSイメージセンサーを用いている。センサーはOMNIVISION製、Samsung Electronics製、ソニー製と3つとも異なるメーカー製だ。
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