HBM系が主役、DDR系が脇役になるDRAM市場:福田昭のストレージ通信(291) 半導体メモリの行方をアナリストが解説(1)(1/2 ページ)
今回から、2025年8月に開催された「FMS(the Future of Memory and Storage)」の一般講演の一つを紹介する。アナリストであるJim Handy氏の講演「Memory and Storage, Current Status and Future Projections(メモリとストレージの現状と将来)」だ。
FMS 2025の講演資料が公開される
2025年8月5日〜8月7日(米国時間)に、半導体メモリとストレージに関する世界最大のイベント「FMS(the Future of Memory and Storage)」が米国カリフォルニア州サンタクララで開催された。「FMS」はキーノート講演や一般講演、展示会などで構成される。リアル参加のみのイベントであり、オンライン参加はできない。
このほど、キーノート講演のビデオと一般講演のスライドがFMSの公式ウエブサイトで公開された。数多くある一般講演の中から、半導体メモリの市場動向と技術動向を著名なアナリストが解説した概要を、シリーズでご紹介したい。なお本記事は講演スライドの内容をご報告しているので、講演の詳細とは一致しないことがある。あらかじめご了承されたい。
始めは半導体メモリとフラッシュストレージに対するユニークな視点で知られるアナリスト、Jim Handy氏の講演を簡単にご紹介する。講演タイトルは「Memory and Storage, Current Status and Future Projections(メモリとストレージの現状と将来)」である。講演のあったセッションの名称は「BMKT-101-1: Market Analyst Panel(市場アナリストによるパネル討論)」であり、FMSのプログラムによると5人のアナリストが参加している。講演スライドを公表したのはHandy氏を含めて2人だけである。

FMSの「BMKT-101-1: Market Analyst Panel」セッションでJim Handy氏がスピーチした講演のタイトルスライド[クリックで拡大] 出所:2025 Proceedings of FMS(以下同じ)
講演のアウトライン(目次)には、「DRAMとHBM」「NANDフラッシュとSSD」「AI」「CXL」「チップレット」「グローバルな問題」とあり、トピックスを広くカバーする。ただし内容はそれほど深くない。「深く知りたい方はレポート(数千米ドルと高額)を購入してください」、ということだ。市場調査サービス企業の標準的な販促手法であり、特にどうと言うことはない。
DRAM市場のHBM系シェアは2024年の15%から2026年は31%に増加
それでも、興味深い資料(スライド)があったので、報告しよう。始めは、DRAM市場(世界市場、金額)の実績と予測をDDR系とHBM系に分けたスライドである。2024年のDRAM市場規模は1000億米ドル強であり、その大半(85%強)はDDR系DRAMだった。HBM系DRAMの割合は少ない(15%弱)。DDR系の市場は、2023年に対しても大きく伸びている。
しかし2025年と2026年は、DDR系の市場はあまり成長しない。替わってHBM系DRAMが大きく伸びると予測する。2026年のDRAM市場は1500億米ドルに近づく。HBM系の占める割合は約31%と2倍に拡大する。DDR系の占める割合は約69%に減少する。
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