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「Intelのメガファブ建設」の夢から覚めた欧州 それでも最先端工場を求めるべきか「独自路線を行くべき」との声も(2/3 ページ)

Intelの財務状況の悪化で、欧州に予定していた工場建設は中止となった。それでもなお、ドイツではTSMCが支援するESMCやGlobalFoundriesの拠点拡大計画は進行しているが、いずれも最先端ノードを製造するものではない。欧州では、最先端半導体工場を追い求めるべきか、議論が分かれている。

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大型EUV装置を導入できず 「EMSCはIntelの役割を果たせない」

 一方、GlobalFoundriesは、Intelの決定による直接的な影響はほとんどないと予想している。同社はすでにドレスデンの拠点で欧州最大級の半導体施設を稼働しているが、GlobalFoundries EMEA政府業務担当ディレクターを務めるJens Drews氏は「Intelの1.8nm半導体工場は全く異なる技術だった。現在当社は22nm以上の基幹技術に注力しており、これらは今後数年にわたって自動車、産業、医療技術用途で重要であり続けると予想される」と語った。

 Drews氏は、Intelの存在がより多くのサプライヤーを引き付け、エコシステムを拡大したであろう可能性を認めつつも、「ドレスデンの半導体クラスタはすでに欧州で無比の存在である」と強調した。ドレスデンには、GlobalFoundriesとX-Fab、近日開設予定のESMCという3つのファウンドリーのほか、Bosch、Infineon、JenoptikといったIDMや、Fraunhoferナノエレクトロニクス技術センターなどの研究機関が集まっている。「欧州にはこれに匹敵する地域はない」とDrews氏は述べている。

GlobalFoundriesのドレスデン拠点のクリーンルーム
GlobalFoundriesのドレスデン拠点のクリーンルーム[クリックで拡大] 出所:GlobalFoundries

 Bosenberg氏も同様の見解を示している。「Silicon Saxonyは欧州をリードするクラスタで、全ての企業は成熟ノードを適用している。成熟ノードは欧州の巨大市場で需要が高まっているので、われわれは非常に強い立場にあると考えているが、最先端のロジックタイプでは存在感が欠けている」(同氏)

 同氏は「ESMCはIntelの役割を果たせない」と述べ、次のように説明した。「現在の施設では、7nm以下のノードに不可欠な極端紫外線(EUV)機器を設置できない。大型EUV装置は、現在計画している構造にはとても収まらない。ESMCは10nmより微細なノードには対応できない」

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