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Armは「IPベンダー脱却」を図るのかチップレットを手掛ける米新興を買収(1/2 ページ)

Armが、チップレット技術を手掛けるスタートアップDreamBig Semiconductorを買収する。買収は2026年3月末までに完了する予定だ。最近、ArmはIPベンダーから、チップベンダーへと移行するのではないかと報じられていた。今回の買収は、それを裏付ける動きになるのだろうか。

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 米国EE Timesの2025年版「Silicon 100」で注目すべきチップレット技術を持つスタートアップ企業に選出されたDreamBig Semiconductor(以下、DreamBig)が、Armに買収された。この新事実は、英国の半導体IP(Intellectual Property)サプライヤーであるArmの最新の業績レポートで明らかになったもので、同社は2025年10月に、DreamBigを2億6500万米ドルで買収することで合意したという。

 Silicon 100はDreamBigのプロフィールについて「チップレットプラットフォーム『MARS』をコア技術に据え、その中には広帯域メモリ(HBM)を備えた『Chiplet Hub』技術が含まれている」と述べる。このChiplet Hub技術は、高性能なファブリックベースダイ上にHBMを統合しているため、設計者は、付属するチップレット全体で共有されるハードウェアリソースを集中的に制御することが可能だという。

 またSilicon 100は、DreamBigのAI/データセンター向け高性能アクセラレーターソリューションについても言及している。同社のネットワークアクセラレーターチップは、RDMA(Remote Direct Memory Access)エンジンを搭載し、集約型のAIワークロード向けに800Gbpsの帯域幅と800Mpps(パケット/秒)のスループットを実現するという。

RDMAエンジンは、いくつものネットワーキングスタックの層とCPUをバイパスする 出所:DreamBig Semiconductor
RDMAエンジンは、いくつものネットワーキングスタックの層とCPUをバイパスする 出所:DreamBig Semiconductor

 上述の製品概要は、2つの半導体設計の実現へとつながっている。1つ目は、同社のチップレットIPであるChiplet Hubで、開発メーカーは全側面(quad-sided)のUCIeダイツーダイ接続を備えたマルチダイアーキテクチャを構築することが可能だ。その好例として、Athos Siliconが同社にとって初となるチップ「Polaris(開発コード名)」にChiplet Hub技術を適用し、自動車や航空電子機器、ロボティクス、宇宙などの用途向けにチップレットベースのプラットフォームを開発していることが挙げられる。

Chiplet Hubを採用した「Polaris」のイメージ 出所:Athos Silicon
Chiplet Hubを採用した「Polaris」のイメージ 出所:Athos Silicon

 そして2つ目は、DreamBigが2025年1月に最初に発表したモノリシックチップ「Mercury AI-SuperNIC」だ。GPUやTPU(Tensor Processing Unit)のようなAIチップを、チップレット対応のコンポーネントを介して接続することができ、最大12.8Tbpsの帯域幅を提供するという。RDMAエンジンを採用することで、GPU-GPU間の相互接続を実現可能だ。

「Mercury-AI-SuperNIC」のブロック図 出所:DreamBig Semiconductor
「Mercury-AI-SuperNIC」のブロック図 出所:DreamBig Semiconductor

 Mercuryチップは、ハードウェアアクセラレーションRDMAエンジンを搭載し、RoCEv2(RDMA over Converged Ethernet v2)と新しい「Ultra Ethernet Consortium(UEC)1.0」仕様の両方をサポートしている。DreamBigは「Mercuryチップは、次世代AIプラットフォーム向けの性能と電力効率、コスト効率とを組み合わせることにより、GPU/TPU向けに800Gbpsのディスクリートネットワークを再定義する」と主張している。

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