「FPGAはフィジカルAIに最適」 Altera CEOが語る将来性:日本をグロース市場と認識
日本アルテラは2025年11月10日、Altera CEOのRaghib Hussain氏による記者説明会を開催した。日本市場における意気込みや、フィジカルAIでのFPGA活用などについて紹介した。
Intelから独立してFPGAに注力
Alteraの日本法人である日本アルテラは2025年11月10日、Altera CEOのRaghib Hussain氏による記者説明会を開催した。
Hussain氏は半導体業界で30年以上のキャリアを持つエンジニアだ。ネットワークプロセッサやセキュリティ製品を手掛ける米Caviumや、同社を2018年に買収したMarvell Technologyなどでの経験を経て、2025年5月からAlteraのCEOとして参画している。
「AlteraがIntelから独立したことで、FPGAに注力できる。新しいAlteraのミッションは、顧客に最高のソリューションを提供することだ。そのために、全員が責任感を持って実行していくことや、意思決定の高速化といった新しい風土を取り入れていきたい」(Hussain氏)
Hussain氏は「AIが全ての業務に関連してきていることと、ASICの開発費が高騰していること。この2つを成長ドライバーにして、FPGAの獲得可能な最大市場規模(TAM)は、2030年までに30億米ドルになると考えている」とする。
「Alteraは日本をグロース市場だと考えている。これまで35年以上ビジネスを行ってきて、通信や医療、防衛など、幅広い領域に500以上の顧客がいる。インテリジェントで適用型のコンピューティングが日本で成長していくために、FPGAを使って技術面から貢献したい」(Hussain氏)
フィジカルAIでの活躍が期待
FPGAの特徴の1つが、高い汎用性だ。これが特に生きる分野として、Hussain氏は「フィジカルAI」を挙げる。「フィジカルAIデバイスは触覚や温度など、さまざまなセンサーを搭載するが、それぞれが異なるインタフェースやフォーマットを有する。各種データのフォーマットを整え、GPUに渡すのに最適なのがFPGAだ」という。
複数センサーの信号を、1台のFPGAで処理することもできるため、コストや実装面積の削減にもつながる。自動車のブレーキのように、即応性が求められる場面では、GPUを用いずにFPGAだけでエッジAIシステムを構築することも可能だ。
ASICでも同様のことができるが、開発には少なくとも2年ほど必要で、かつ用途が定まっているため、開発費と見込める市場を天秤にかけた際の実現ハードルが高くなる。それに対し、FPGAは基本的な設計が共通のため数カ月程度で開発できる。さらに1つの製品を幅広い用途で使えるため、開発費用自体はASICより高くなっても、結果的に高品質で汎用性の高い製品を、安く市場に提供できるという。
Hussain氏は「なかでもAlteraのFPGA『Agilex』は、最新のインタフェースやセキュリティに対応し、低遅延で動作できる。フィジカルAIに最適なFPGAだ」とした。
「AlteraではFPGA製品からソフトウェア、IP(Intellectual Property)まで提供していくことや、複数のファウンドリー、OSATと連携してサプライチェーンの柔軟性を高めること、業務にAIを活用していくことで、使いやすく、優れたFPGAソリューションを提供していくつもりだ」(Hussain氏)
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