Rapidusは31年度に上場目指す、27年度後半に2nm世代量産:経産省が1000億円出資へ
赤沢亮正経済産業大臣は2025年11月21日、政府がRapidusに対して1000億円を出資する考えを発表した。また、この日公開されたRapidusの実施計画では、同社が2031年度頃に株式上場を目指す方針などが明らかになった。
赤沢亮正経済産業大臣は2025年11月21日、政府がRapidusに対して1000億円を出資する考えを発表した。また、この日公開されたRapidusの実施計画では、同社が2031年度頃に株式上場を目指す方針などが明らかになった。
経産省が同日、情報処理促進法に基づく金融支援の対象となる次世代半導体製造事業者として、Rapidusを選定した。選定に当たってはRapidusから提出された実施計画について産業構造審議会・次世代半導体等小委員会を開催して審査を行い、その答申を踏まえたうえで判断を行ったとしている。経産省は今後、同計画に基づき、まずは2025年度当初予算に計上した1000億円を情報処理推進機構(IPA)を通じて出資する考えだ。
27年度後半に2nm量産、その後2〜3年ごとに新世代量産を目指す
Rapidusが経産省に提出した実施計画では、中期計画として2027年度後半に2nm世代の半導体の量産を開始すると説明。さらにその後2〜3年ごとに最新世代(1.4nm、1.0nm)の量産を行う中期ロードマップを確立するとしている。また、2029年度頃に営業キャッシュフローの黒字化、2031年度頃にフリーキャッシュフロー黒字化を実現し、2031年度頃に株式市場への上場を目指すと説明している。
技術開発においては、枚葉方式や新たな方式の搬送システム等の差別化技術によって、試作/改善に要する期間を短期化することで、2027年度後半の2nm世代量産開始までにトランジスタ性能/歩留まりを「チップの質とコスト競争力に照らして顧客獲得が十分可能な水準にまで向上させる」としている。また1.4nm世代の研究開発も本格化するとともに、後工程についても国際機関等と連携しつつ2025年度中にパイロットラインを稼働させ、生産技術を確立するとしている。
「顧客獲得の余地は大きい」
顧客獲得については、2030年度の2nm世代の半導体の世界市場が需要に対し供給が約10〜30%不足する見込みと示し「顧客獲得の余地は大きい」と説明。まずは、AIデータセンター向けのカスタム半導体を設計するファブレス企業などからの受注確保を目指し、その後、国内外のエッジ端末(自動車、ロボティクス等)向けの供給を拡大する方針を示している。
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