光電融合で「光チップレット」実現へ NTTが2030年代のIOWN構想語る:万博では光コンピューティングも披露(2/3 ページ)
NTTは2025年11月19〜21日、25〜26日にかけて、最新のR&D関連の取り組みを紹介する「NTT R&Dフォーラム2025」を開催中だ。基調講演「光技術によるコンピューティングの革新」では、IOWN構想によるコンピュータの光通信化について語った。
最新の光電融合デバイスでボード間の光通信を実現
NTTのIOWNは2023年から商用化を開始し、中継装置やデータセンター間、サーバ間のネットワークを光通信にする「APN IOWN1.0」を商用サービスとして提供している。2025年からは第2段階「IOWN 2.0」がスタートし、ボード間の光通信化に着手。これを実現するのが、最新の光電融合デバイス「PEC(Photonics-Electronics Convergence)-2」だ。
従来の光通信スイッチは、光通信モジュールをスイッチに挿し込む形で実装していたが、内部の情報処理用ICチップとモジュール間の距離が300mm程度と長く、そこでの電気通信が消費電力増の要因になっていた。PEC-2は情報処理用ICチップと光エンジンを同一の台座上に実装し、電気通信距離を30mm程度まで短縮。消費電力を大幅に低減できたという。
NTTが、IOWN 2.0の技術を用いて試作した光コンピューティングのプロトタイプは、現行品に比べて8分の1の消費電力を実現していて、2025年10月に閉幕した大阪・関西万博のNTTパビリオンでも使用された。この光コンピューティングは2026年度中に商用提供を開始する予定で、総通信容量は「市場トップレベルの102.4テラビット/秒を達成する」(島田氏)とした。
製品化に向け、スイッチに内蔵するLSIの設計を行うBroadcomや、それを搭載するスイッチボックスを設計、製造するAccton Technologyなどサプライチェーン各社とのパートナーシップも確立している。光エンジンおよびスイッチモジュールを設計、製造するのはNTTイノベーティブデバイスで、同社は1ラインあたり月間5000個の生産能力を有し、今後、少なくとも3ラインに増強する予定だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.





