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2026年半導体市場、成長は視野に入るが不確実性も残る ―― WSTS秋季予測をどう読むか大山聡の業界スコープ(95)(1/3 ページ)

WSTSが2025年、2026年の半導体市場予測を更新し、2025年は前年比22.5%増、2026年は同26.3%増とした。AI投資が市場を押し上げる一方、PC/スマホなど主要アプリケーションの回復が遅れれば下振れの可能性もある。分野別の実績と背景要因から、予測の妥当性と今後のリスクを考察する。

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 WSTS(世界半導体市場統計)は2025年12月2日、2025年および、2026年の半導体市場規模予測を発表した。前回(2025年6月)発表では、2025年の成長率を前年比11.2%増と予測していたが、今回はこれを22.5%増に上方修正した。2025年10月までの半導体市況を見る限り、これまでの出荷実績は前年同期比22.4%増で推移しており、この修正は妥当といえるだろう。翌2026年については2025年比26.3%増と予測している。だが筆者としては「これは予測し得るベストシナリオで、下振れる可能性も十分あり得るのではないか」とみている。これまでの状況を踏まえながら、今後の見通しについて考えてみたいと思う。

ディスクリート:パワートランジスタ不況からの回復局面

 ディスクリートは2025年を前年比0.4%減と予測している。前回の予測では同2.6%減で、ここからは上方修正されている。2025年1〜10月の実績を見ると前年同期比1.7%減であり、ここからは回復する予測となっている。前年同月比のマイナス幅は縮小傾向にあるので、この予測に違和感はない。この分野で過半を占めるパワートランジスタ市場の不況が想定よりも長引いたことが最大のマイナス要因だった。原因としてはEV需要の下振れがあったが、こちらはすでに回復基調に向かっているので需要は堅調に伸びるだろう。ただしこの分野は多くの中国企業が量産を立ち上げようとしており、中長期的には供給過剰に伴う単価下落が続きそうである。2026年は前年比8.2%増という予測だが、筆者としては0〜5%程度の伸びにとどまると予測している。


世界半導体製品別市場規模の実績と予測[クリックで拡大] 出典:WSTS[2025年秋季半導体市場予測]

光半導体:スマホ市場は横ばいでもイメージセンサーが成長を先導

 光半導体市場の2025年成長率は前年比3.7%増と予測している。前回予測では同4.4%減で、ここからは上方修正されている。2025年1〜10月の実績を見ると前年同期比2.5%増であり、ここから回復する予測になっている。直近2025年8〜10月では前年同期比6%程度の成長が続いているので、この予想は妥当だろう。この市場は約半分がイメージセンサーで占められており、その約7割強がスマホ向けに出荷されている。スマホの出荷台数はここ数年横ばいで推移している。だが、スマホ1台当たりの搭載数量の増加、画素数向上に伴う単価の上昇などで、イメージセンサー市場としては伸びている。2026年の予測は2025年比5.7%増になっているが、特に違和感はない。

センサー:車載向けの伸びが成長を支える

 センサーの2025年市場規模は前年比10.4%増という予測である。前回予測では同4.5%増で、上方修正された。2025年1〜10月までの実績を見ると前年同期比12.3%増であり、ここからは悪化する予測となっている。直近2025年8〜10月はプラス成長を維持しているものの、伸び率に鈍化が見られるため、これを加味すれば妥当な予測といえるだろう。センサー市場は車載向けとスマホ向けの比率が高く、昨今では車載向けの需要がけん引役となっている。単価が安定したまま出荷数量が伸びる傾向が続いているので、2026年も同様の成長は期待できるだろう。2026年は2025年比8.7%増という予測だが、筆者としては少なくとも10%程度の成長が十分期待できるとみている。

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