基板向けインクジェット印刷装置、エレファンテックが初号機を販売:銅ナノ粒子インクを基材に直接吐出
エレファンテックは、産業用インクジェット印刷装置「ELP04」シリーズの新モデル「ELP04 PILOT 600R」を開発、初号機を国内のプリント基板メーカーに販売した。
低環境負荷プリント基板製造技術の量産適用を現場で検証
エレファンテックは2025年12月、産業用インクジェット印刷装置「ELP04」シリーズの新モデル「ELP04 PILOT 600R」を開発、初号機を国内のプリント基板メーカーに販売したと発表した。
ELP04 PILOT 600Rは、エプソン製のインクジェットヘッドや独自開発の低環境負荷プリント基板製造技術である「SustainaCircuits」を搭載した汎用多層基板向けの印刷装置。銅ナノ粒子インク滴を基材に直接吐出して、微細な配線を形成するための導電性シード層やスルーホール内部の導電性シード層を形成できる。ブラインドビア形成や均一な導電薄膜の形成にも活用できるという。
特にSustainaCircuits技術は、必要な箇所にのみ金属を印刷するアディティブ製法を採用している。このため従来のサブトラクティブ製法に比べ、配線の形成などに必要な金属の使用量を大幅に削減することが可能となる。
エレファンテックは今後、導入先のプリント基板メーカーなどと協力し、SustainaCircuits技術を多層基板の量産工程に適用させるための検討などを実際の製造現場で行っていく計画である。
さらに、製造現場での評価なども踏まえ、複数ヘッドを搭載した大規模製造向けモデル「ELP04 RS」や、印刷と検査を並行して行い待機時間を最小限に抑えてスループットを向上させる「ELP04 RF」など、用途や生産規模に応じたELP04シリーズを開発していく計画である。
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