POL-LESS構造OLED、26年から急成長 Samsungも採用:2032年に2億4400万台を出荷見込み
市場調査会社のOmdiaは2026年3月10日(英国時間)、POL-LESS(Polarizer-less)構造有機EL(OLED)の出荷台数予測を発表した。2026〜2032年にかけて年平均成長率(CAGR)22.7%で成長し、2032年には2億4400万台に達する見込みだという。用途も拡大傾向にあり、Samsung Electronics最新スマホでもCOE(Color Filter-on-Encapsulation)技術採用ディスプレイが使われた。
Samsung最新スマホでも採用 拡大するPOL-LESS構造OLED
市場調査会社のOmdiaは2026年3月10日(英国時間)、POL-LESS(Polarizer-less)構造有機EL(OLED)の出荷台数予測を発表した。それによると、2026年の出荷台数7200万台から年平均成長率(CAGR)22.7%で成長し、2032年には2億4400万台に達する見込みだという。
従来のOLEDは円偏光板(CPL)を用いて各ピクセルからの光を直線的に通過させていたが、この方式では実際の発光と比べ、確保できる輝度が半減するほか、単層フィルム層が比較的厚いことから設計、性能に影響を及ぼしていた。
そこでOLEDメーカーは近年、偏光板をなくしたPOL-LESS構造OLEDの技術開発を行っている。これまではプレミアム製品での採用にとどまっていたが、適用用途も拡大傾向にあり、OLED市場のイノベーションを加速させているという。
OmdiaのプラクティスリーダーであるJerry Kang氏は「メーカーや消費者にとって、ディスプレイ技術の革新の価値は技術そのものだけでなく、実際の使用環境でどれだけ効果を発揮するかにもかかってくる」と述べる。
例えばOLED封止層の上にカラーフィルターとブラックマトリックスをパターニングする「COE(Color Filter-on-Encapsulation)」は、CPLよりも薄く、光の取り出し効率が高い。このことから折り畳み式スマートフォンや、高輝度、長時間駆動が求められるスマホでの採用が拡大しているという。
カメラの光補足能力を維持しつつ、ピクセル構造にあわせて設計できることから、スマホのアンダーパネルカメラ(UPC)実装にも効果的だ。Samsung Electronicsの最新フラグシップスマホ「Galaxy S26 Ultra」は、OLED素子を制御して物理的にのぞき見を防ぐ「プライバシーディスプレイ」を搭載するが、ここにCOEを採用している。従来ののぞき見防止ディスプレイと異なり、画面の一部のみをアクティブ化できることが、同技術の特徴だという。
Jerry氏は「COEはセットメーカーに対し、より高い光抽出率や薄い構造、設計の柔軟性をもたらす。消費者には色再現性の向上やプライバシー保護機能の提供によって、OLEDディスプレイを選択する動機を高め、競合技術との差別化がさらに進むと予想される」とする。
また偏光板を用いない技術として、ディスプレイ表面全体の光透過率を制限することで偏光する「SPL(Simplified Polarizer Layer)」を挙げる。本技術はコントラスト比の低下、視野角の狭まり、屋外での視認性の低下といったデメリットもあるが、従来の偏光板技術よりもコストが低いため、低コストOLEDパネルへの採用技術として有力視されているという。
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