「これまでにないダイナミックレンジ」 ソニーのLOFIC画素4Kセンサー:単一露光で96dB実現(1/2 ページ)
ソニーセミコンダクタソリューションズが、LOFIC画素を採用した4K解像度CMOSイメージセンサーを開発した。LOFIC構造を「業界最小」(同社)となる1.45μmの単一画素で実現し、1/2.8型と小型ながら1回の露光で4K解像度と96dBのダイナミックレンジを両立している。今回、担当者に詳細を聞いた。
ソニーセミコンダクタソリューションズ(以下、SSS)が、LOFIC(横型オーバーフロー蓄積容量)画素を採用した4K解像度CMOSイメージセンサーを開発した。LOFIC構造を「業界最小」(同社)となる1.45μmの単一画素で実現し、1/2.8型と小型ながら1回の露光で4K解像度と96dBのダイナミックレンジを両立。屋内外を問わずさまざまな環境下で高精度な画像認識が求められるセキュリティカメラ向けに展開するという。今回、担当者に詳細を聞いた。
新開発の「STARVIS 3」、LOFICを1.45μmの単一画素で
SSSが開発したのは、セキュリティカメラ向けの1/2.8型(対角6.42mm)有効約840万画素イメージセンサー「IMX908」だ。
セキュリティカメラは、安全管理のためのモニタリングにとどまらず、市街地や施設のような生活空間の状態把握など、幅広い用途で社会に普及している。そして近年、AIによる画像認識が標準搭載されるようにもなり、明所から暗所まで安定して高画質な撮影を可能にするイメージセンサーへのニーズが高まっているという。SSSはこうした要望に向けて今回、独自のLOFIC画素技術「STARVIS 3」を新開発し、IMX908に搭載した。
LOFICは、露光中にフォトダイオードからあふれた光電荷を別容量に蓄積して信号として扱う技術。従来より効率的な電荷の蓄積と電圧変換を可能にし、センサーの飽和電荷量の拡大や低照度性能の向上を実現するものだ。多くのLOFICセンサーでは面積や画素サイズの制約などから、2×2の4画素といった複数画素を共有する形のLOFIC構造が採用されているが、SSSでは今回、1画素それぞれにLOFIC構造を持たせつつも、1.45μmという「業界最小」画素を実現した。なお、具体的な画素構造の詳細については「現時点では公表できない」としている。SSSが単画素によるLOFICセンサーを製品化するのは今回が初だという。
飽和電荷量20倍、低照度性能27%改善
独自のLOFIC技術採用によって、IMX908では飽和電荷量を従来比約20倍まで拡大した。これによってより多くの電荷を蓄積し、光が強い明所での撮影において白飛びを抑えた撮影が可能となった。また、従来よりも少ない光量から電圧変換できるため、低照度性能も従来比で約27%改善。暗所撮影における黒つぶれやノイズの発生も抑制した。これらの特性改善によって、単一露光で撮影できるダイナミックレンジは96dBまで拡大し、従来よりも明暗差が大きな環境や暗所においても、高感度で高画質な撮像が可能になったとしている。
SSSイメージングシステム事業部の松田崇氏(商品企画担当)は「セキュリティカメラ市場にはより広いダイナミックレンジへの要望がある。96dBというダイナミックレンジはこれまでわれわれは実現したことがなかった。従来、後段の画像処理でノイズなどは低減できるが、白飛びなどをしてしまうと、そこには画像の情報がなく補正のしようがない。今回の製品によって、白飛びや黒つぶれをせずに撮像できるようになり、画像処理の選択肢が広がる」と説明していた。
なお、SSSでは既存のセキュリティカメラ用イメージセンサー技術「STARVIS 2」においても、明所に合わせてゲインを低く設定した画像と暗所に合わせてゲインを高く設定した画像を同時に撮影して重ね合わせることで低照度性能を向上する技術「Clear HDR」の採用によって、低照度性能を向上するなどしていた。ただ、同技術ではダイナミックレンジの上限を伸ばすことは難しかったという。そうした中で今回、独自のLOFIC技術を開発/採用したことで低照度性能とともに、上限側を「大幅に伸ばすことが可能になった」としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


