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イラン戦争の長期化が半導体業界に及ぼす深刻な影響ヘリウムと臭素に供給リスク(1/2 ページ)

現在中東地域で続いている戦争が、半導体製造に不可欠なヘリウムや臭素(Br)などの重要な材料の供給を妨げる可能性がある。そしてそれが、現在コンピューティングチップやメモリに対する未曾有の需要をけん引しているAIブームに、深刻な影響を及ぼす恐れがあるのだ。本稿ではその概要を述べる。

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 現在中東地域で続いている戦争が、半導体製造に不可欠なヘリウムや臭素(Br)などの重要な材料の供給を妨げる可能性がある。そしてそれが、現在コンピューティングチップやメモリに対する未曾有の需要をけん引しているAIブームに、深刻な影響を及ぼす恐れがあるのだ。

 韓国の産業通商部は、半導体サプライチェーンの中で現在の中東における戦争による深刻な影響に直面している品目として、ヘリウムや臭素をはじめとする14品目を指定した。韓国は、世界2大メモリメーカーであるSamsung Electronics(以下、Samsung)とSK hynixを擁している。両社はDRAM市場全体の70%、広帯域メモリ(HBM)市場の80%を占める、世界半導体市場の重要プレイヤーだ。

 SemiAnalysisのメモリアナリストであるRay Wang氏は、CNBCの取材に対し「今のところ、影響は限定的であるように見える。地域紛争が長引けば、ヘリウムや臭素などの材料調達に関する半導体メーカーの製造オペレーションが、混乱に陥る可能性がある」と述べている。

ロシア/ウクライナ戦争の材料不足をはるかに上回る?

 このような半導体材料の危機はある意味、ロシアのウクライナ侵攻によって2022年に発生したヘリウム/ネオンの不足を想起させる。しかし、今回のサプライチェーン混乱の規模と範囲は、ウクライナ戦争で発生した半導体中心の材料不足のそれをはるかに上回る可能性がある。

 米国のコンサル会社Kornbluth Helium ConsultingのプレジデントであるPhil Kornbluth氏によると、世界のヘリウム生産が最低でも2〜3カ月間停止し、ヘリウムのサプライチェーンが通常稼働に戻るまでに4〜6カ月間かかるという事態は、容易に想像できるという。カタールのエネルギー担当大臣も、英国Financial Timesに対して同様の見解を示し、「紛争が直ちに終結したとしても、ヘリウム供給が平常に戻るまでには数週間から数カ月を要するだろう」と述べている。

 カタールは、世界のヘリウム生産量全体の3分の1を占めているが、今回イランのドローン攻撃を受けて生産停止を余儀なくされ、2026年3月2日に年間7700万トン規模の生産設備の稼働停止を発表した。カタールの国営石油会社であるQatarEnergyは、液化天然ガスの副産物としてヘリウムを生産している。

カタールのヘリウム工場は2025年に約6300万m<sup>3</sup>のヘリウムを生産した。これは世界のヘリウム生産量約1億9000万m<sup>3</sup>の33%に相当するという[クリックで拡大] 出所:GasWorld

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