検索
ニュース

AIサーバ機器製造をOKIが「丸ごと」受託 独自の熱対策や実装技術で高信頼性の多品種少量生産に強み(2/2 ページ)

OKIは、AIサーバ機器の製造を受託する「まるごとEMSサービス」の提供を開始した。電子機器製造受託(EMS)事業や自社製品製造で培った高密度実装や熱マネジメントのノウハウを活用し、AIサーバ機器の歩留まり向上や顧客企業の「持たない経営」への貢献を目指す。同サービスの詳細や、OKIのEMS事業の強みについて、OKI EMS事業部 生産技術部 部長の高齋一貴氏に聞いた。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

AIサーバに生きる独自の放熱/実装技術

 こうしたEMS事業や自社製品の製造で培ってきた技術がAIサーバ機器にも活用できるとして、OKIはAIサーバ機器のEMSサービスを開始する。AIサーバ機器向けには部品調達や棚卸管理、基板実装、装置組み立て、試験などの共通工程を受託する「共通工程まるごとEMS」と、実装不良箇所のはんだ付けをやり直すリワーク工程も含めた全工程を一貫対応する「製品群まるごとEMS」を提供する。

 AIサーバ機器の製造における大きな課題は熱マネジメントだ。GPUの消費電力が増大していることから、デバイスの性能維持に向けて放熱技術の向上はますます重要になっている。OKIは、熱マネジメントが極めて重要となる航空宇宙用途でも事業を展開してきたことから、独自の放熱技術を有している。2024年には、凸型の銅(Cu)コインをプリント配線板(PCB)に埋め込み、基板の裏側へ放熱させる独自技術を発表。従来のスルーホール構造と比べて、55倍の放熱性を実現したという。この技術でAIサーバ機器の放熱性向上にも貢献する。

凸型銅コイン埋め込みPCBのイメージ
凸型銅コイン埋め込みPCBのイメージ[クリックで拡大] 出所:OKI

 実装技術も重要だ。AIサーバ機器は搭載する部品数が多く搭載密度が高いほか、部品間のサイズの差も大きい。こうした場合、実装時の高温加熱でPCBと部品の熱膨張差による反りや実装不良が問題となる。OKIはこれまでの通信機器などの製造ノウハウから、大型多層PCBへの高密度実装を得意とする。AIサーバ機器のような難易度の高い実装時、はんだが適切に溶融しつつ、小型の部品なども破損しない温度範囲は10℃ほどと非常に狭い。その10℃の範囲内で基板全体の温度を均一にする必要がある。本庄工場ではんだ付けに用いるリフロー炉は、温度設定を細かく調整できる特殊仕様だという。

 それでも接続不良が発生することはあるので、OKIではX線による全数検査で実装状態を確認し、修正を行うことで歩留まりを高めている。

 GPUは高価かつ長納期で、実装に失敗した際に基板ごと廃棄すると大きな損失になることから、修正を前提とした対応が不可欠だ。「細かな部品の間のリワークは機械では行えず、手作業が必須だ。リワークが難しいので基板ごと捨ててしまう企業もある」(高齋氏)というが、これがAIサーバ機器のさらなるコスト増や長納期化につながる。OKIでは「EMSの匠」と称する高度なはんだ付け技術者による手作業でリワークに対応する。

 高齋氏は「これまでのEMS事業や自社製品の製造で培ったノウハウを活用し、成長市場であるAIサーバ機器でもEMSサービスを広げていきたい」と語る。AIサーバ機器のEMSサービスの価格は個別見積もりで、2026年度の販売目標は10億円だ。

「EMSの匠」によるリワーク作業の様子
「EMSの匠」によるリワーク作業の様子[クリックで拡大] 出所:OKI

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る