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300mVでエッジAIが動く、12nm FinFET採用SoC Ambiqembedded world 2026(1/2 ページ)

Ambiqは、12nm FinFETプロセスを初採用した、NPU搭載の次世代SoCの開発を進めている。300mVという極めて低い電圧での動作でのAI推論を可能とするもので、最初の製品は2027年に生産を開始する予定だという。今回、同社のアーキテクチャおよびプロダクトプランニング担当ヴァイスプレジデントであるDan Cermak氏に概要を聞いた。

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 低消費電力の半導体ソリューションを手掛けるAmbiqは、12nm FinFETプロセスを初採用した、NPU搭載の次世代SoC(System on Chip)の開発を進めている。300mVという極めて低い電圧での動作でのAI推論を可能とするもので、最初の製品は2027年に生産を開始する予定だという。今回、同社のアーキテクチャおよびプロダクトプランニング担当ヴァイスプレジデントであるDan Cermak氏に概要を聞いた。

「エッジAI向けにゼロから設計した初の製品」

 Ambiqは2010年創業の米国半導体メーカーで、独自の低消費電力化技術「SPOT(Subthreshold Power-Optimized Technology)」をベースにしたSoC「Apollo」を展開している。SPOTはその名の通り、CMOSにおいてサブスレッショルド電圧で半導体を起動できる技術だ。2024年の「embedded world」では最新世代「Apollo 5」の第1弾「Apollo510」を紹介し「従来比30倍の電力効率を実現した」などと強調していた。

SPOT技術について
SPOT技術について[クリックで拡大] 出所:Ambiq

 同社は2026年1月の「CES 2026」に合わせ、現在開発中の次世代SoC「Atomiq」について正式に発表していた。そして同年3月には更なる技術詳細を発表。同月の欧州最大規模の組み込み技術展示会「embedded world 2026」(ドイツ・ニュルンベルク/2026年3月10~12日)においても、その内容を紹介した。なお、ApolloからAtomiqと異なる名称にした理由については「Atomiqは、エッジAI向けにゼロから設計した最初の製品であり、新たな製品ラインとして位置付けた」としている。

SPOT×FinFETが実現するもの

 Atomiqの最大の特長が、約300mVという極めて低い電圧での動作を可能にする超低消費電力(ULP)モードを備える点だ。現行の最新世代であるApollo5ではTSMCの22nmプロセスを適用していたが、Atomiqでは12nm FinFETプロセス(N12e)を初めて採用。SPOT技術と組み合わせることで「従来のプレーナCMOSプロセスでは実現不可能だったサブスレッショルドおよびニアスレッショルドでの高速性能を実現する」という。

Ambiqのアーキテクチャおよびプロダクトプランニング担当ヴァイスプレジデントであるDan Cermak氏
Ambiqのアーキテクチャおよびプロダクトプランニング担当ヴァイスプレジデントであるDan Cermak氏

 このULPモードでは、300mVに近い動作電圧を実現しつつ、その電圧領域でも実用的な性能を維持することで、エッジAIの常時動作を現実的なものにする、としている。

 Cermak氏は「TSMCとの連携の継続によって、これまでの経験を生かしている。さらに、われわれのサブスレッショルド技術はFinFETと非常に相性が良く、より低電圧/低消費電力で高性能を実現できる。このプレーナ型からFinFETへの移行は、われわれの技術をさらに生かす絶好のチャンスだった」と強調していた。

 Atomiqでは、300mV近傍での安定動作を実現するため、電源管理も大きく刷新している。具体的には高度に構成可能なマルチチャンネルシングルインダクターマルチ出力(SIMO:Single-Inductor Multiple-Output)降圧コンバーターを備えた、オンチップ電源管理ユニットを搭載。この電源システムは、プロセスばらつきや温度、ワークロードの変動に応じて電圧を動的に調整し、ナノアンペアからミリアンペアまでの広い負荷範囲に対応するとしている。Atomiqでは、ULPの他、低消費電力(LP)および高性能(HP)モードも搭載。「Ambiqはこれまでで最も低い電圧しきい値と最高のエネルギー効率を実現する」などとしている。

 Cermak氏は「既存品のApollo 510と比較すると、Atomiqでは同様の機能において少なくとも2倍。場合によっては10〜20倍の効率向上が期待できる。Apollo 510自体も既に他のソリューションと比べ大幅な効率化を実現した製品だが、そこからさらに大きく向上する形だ」と語った。

既存製品とAtomiqの概要
既存製品とAtomiqの概要[クリックで拡大] 出所:Ambiq

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