「800Vシステムは2027年から提供予定」 TIのAI電源戦略:EVなど3分野の動向を説明
日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は2026年5月21日、同社の電源分野における取組を紹介するメディア向け説明会を開催した。NVIDIAと共同発表したAIデータセンター向け800V DCアーキテクチャなど、同社の開発状況などについて解説した。
Texas Instruments(TI)の日本法人である日本テキサス・インスツルメンツ(以下、日本TI)は2026年5月21日、同社の電源分野における取組を紹介するメディア向け説明会を開催。自動車、ロボティクス、データセンターの3分野の市場動向や、開発状況について解説した。
EVの800Vアーキテクチャからデータセンターへ技術展開
TIパワーデザインサービス&パワーデリバリー部門のゼネラルマネジャーを務めるRobert Taylor氏は「自動車分野には多くのトピックがある」と語る。大きなところではバッテリーの進化による、電気自動車(EV)の走行距離や充電間隔の改善がある。バッテリー周辺を保護する技術をはじめ、48V電源供給やシャシー軽量化など、EVの進化とTIの技術およびビジネスは密接に関わってくるという。
またTaylor氏は「業界や市場の動向を振り返ってみると、自動車は最初に800Vアーキテクチャに参入した分野だ。ここにTIが参画し、協力することで、データセンターなど他の分野にも800Vアーキテクチャの技術を展開できる。非常に大きな機会だと考えている」とした。
ロボティクスについては「産業用から自律移動型、ヒューマノイドまで、進化が拡大している。これを支えるのがセンサーやコンピューティング、電源などの半導体技術だ。半導体の技術や機能によって、これまで人間が活動してきた環境でロボットを活動させるにはどうしたらいいかを考えている」(Taylor氏)という。
「自動車では12Vから48V電源供給へとシフトが進んでいるが、48Vアーキテクチャはロボティクスでも重要だ。モーター駆動に当たって、さまざまな動きをさせることを考えると12Vでは足りない。技術的に自動車やデータセンター分野ともつながる部分がある」(Taylor氏)
800Vシステムの展開は2027年頃予定
TIは2026年3月に、NVIDIAと共同で次世代AIデータセンター向けの800V DC電源アーキテクチャを発表している。窒化ガリウム(GaN)パワーステージを統合し、コンピュートトレイアプリケーション向けに97.6%のピーク効率と2000W/in3超の電力密度を実現するという。
日本TI東日本エリアディレクターの初山翔星氏は「昨今のAI使用の加速により、データセンターでもこれまでにない量の電力需要が発生していて、従来の電源システムのアーキテクチャで対応できる限界にある」とする。
初山氏は「NVIDIAと共同発表した800Vアーキテクチャは、GaNパワーステージを統合した高効率、高密度なソリューションだ」と強調。TIの電源ソリューションでは、800VからGPUコア電源までをわずか2段階の変換で実現できるという。まず、高いピーク効率を備えた800Vから6Vへの絶縁型バスコンバーターで変換し、続いて6Vから1V未満へのマルチフェーズバックソリューションへと供給する。これらによって「システムの簡易化や最小化に貢献できる」(同氏)としている。
TIの製品は、無停電電源装置(UPS)や冷却装置、ラックシステムなど、その他のデータセンターで用いられる機器にも用いられている。初山氏は「既存のソリューションおよび新アーキテクチャ向けに開発しているものも含め、TIの半導体のイノベーションは、顧客のデータセンター向け技術を支えていくと考えている」と語った。
Taylor氏は「TIの強みは広汎なラインアップを、IP(Intellectual Property)や製造まで含めて提供できることだ。TIの800Vシステムはプロトタイプの段階で、最初に採用されるのは2027年頃からだと考えてほしい」と述べた。
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