AI用半導体とメモリの奪い合いに 自動車業界が供給難に直面:「調達戦略を変えるべき」との指摘も(1/3 ページ)
メモリの供給逼迫(ひっぱく)は、自動車業界にも深刻な影響をもたらしている。アナリストは、自動車業界がサプライチェーン戦略を変えるべき時期に来ていると指摘する。
世界の自動車業界は現在、DRAM/NAND型フラッシュメモリの深刻な在庫不足によって生じた、重大なサプライチェーン問題に直面している。自動車メーカーは現在、ソフトウェア定義車両(SDV)や電気自動車(EV)の生産を加速させる中で、半導体の限られた供給をめぐり、AIインフラ開発メーカーと競争を繰り広げている。
メモリ分野はこれを原動力に、コモディティ主導型の周期的な市場から、規律の厳しい供給制約型の環境へと変化しており、自動車メーカーは部品調達戦略を再考する必要に迫られている。
2021年の供給不足 vs 2026年の再分配
業界専門家によると、現在の問題は、2020年代前半(いわゆるコロナ禍)の半導体危機とは異なっているという。2021年のサプライチェーン問題は、主にパンデミックに関連した出荷の問題や、自然災害の他、成熟ノードの半導体工場が十分に稼働していなかったことなどに起因するものだった。
しかし、2026年のメモリ不足は、Samsung ElectronicsやSK Hynix、Micron Technologyなどの大手メーカーが、最先端の半導体生産能力を、AIデータセンター向けの広帯域メモリ(HBM)に優先的に割り当てているために生じている。
Omdiaの自動車部門担当シニアリサーチディレクターを務めるEdward Wilford氏は、米国EE Timesとの電子メールのやりとりの中で、このような違いについて詳細を説明している。「主な違いは、2021年はあらゆる人々に影響を及ぼした限定的な事象だったが、2026年は市場が新たな方向へと劇的に変化しているという点だ。このような変化は、より幅広い産業が高度なメモリ要件に対応したデバイスへと軸足を移していることを反映している。それに加え、製造メーカーが設備投資利益の最大化を追求しているため、問題が迅速に解決される可能性は低いだろう」と指摘する。
Wilford氏は「このような危機的状況が“終息した”と見なすことができる唯一の方法は、AI市場に深刻な混乱が生じた時だ。その可能性は、設備投資費を慎重に維持していける程度には十分存在する」と説明する。
Gartnerのシニアディレクターアナリストを務める山地正恒氏氏は、EE Timesの取材の中で、「技術的な詳細は変化するが、今回異なっているのは、現在の在庫不足がコモディティメモリであるという点だ。2021年の半導体不足は、主にレガシー半導体から生じ、その後幅広い半導体製品へと広がっていった」と述べる。
しかし山路氏は「私としては、これが根本的な違いであるとは考えていない。自動車メーカーが在庫不足を回避しようと、例えばレベル4の自動運転システムをレベル2にダウングレードするなどした場合、それは単にボトルネックを移動させるだけだ。もしそのような移行が同時に発生すれば、自動車メーカーは半導体供給を確保するために過剰発注を行い、その結果として、あらゆる方面で広範にわたる半導体不足が生じることになる」と警告する。
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