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AI用半導体とメモリの奪い合いに 自動車業界が供給難に直面「調達戦略を変えるべき」との指摘も(2/3 ページ)

メモリの供給逼迫(ひっぱく)は、自動車業界にも深刻な影響をもたらしている。アナリストは、自動車業界がサプライチェーン戦略を変えるべき時期に来ていると指摘する。

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EU安全規則でRAM需要が急増

Gartner シニアディレクターアナリストの山地正恒氏
Gartner シニアディレクターアナリストの山地正恒氏 出所:Gartner

 メモリ不足は、自動車業界においてアーキテクチャの複雑性が増大する中で同時に発生している。その一因として、欧州の新しい安全規則が厳格化されたことが挙げられる。EUの一般安全規則「General Safety Regulation(GSR)」は、EU内で販売される全ての新しい自動車に対し、一連の先進運転支援システム(ADAS)を搭載することを2024年月7から義務化している。その中には、高度速度支援(ISA:Intelligent Speed Assistance)や、衝突被害軽減ブレーキ(AEBS:Advanced Emergency Braking System)、車線変更警報機能(Lane Change Warning)、EDR(イベントデータレコーダー)などが含まれる。

 これらのシステムは、ドライバーの挙動を監視し、道路標識を判断するため、ローカルメモリを使用してリアルタムでデータ処理を行う必要がある。現在では法律により、これらのメモリ集約型システムを全ての新車に搭載することが義務付けられているため、欧州では車載グレードの半導体に対する需要が増大している。

ADASによる需要増

 最新のEVは、インフォテインメントや自動運転機能向けに集中型コントローラーなどを使用する傾向が強まっているため、2026年の平均的なコネクテッドカーは、最大1億のLOC(コード行数)をサポートするために約278GB(ギガバイト)のメモリが必要になる見込みだ。レベル3/4の自動運転機能を搭載した自動車は、DRAMだけで300GB超を使用するシステムもあるなど、さらに多くのLOCが必要となる。

 車載メモリは、極端な温度/振動環境でも確実に動作することを保証する上で、厳格なAEC-Q100試験を通過しなければならない。この認証プロセスは、最大2年間を要する場合もあるため、自動車メーカーがまだ認証されていない製品に迅速に切り替えることが困難な要因となっている。


ADASを進化させるには、より多くのメモリ容量が必要になる[クリックで拡大] 出所:Mobileye

 山路氏はこのような急拡大する要件を踏まえ、「自動車業界は、その野心を抑制せざるを得なくなるだろう。自動車メーカーは今後1〜2年の間に、最先端の自動運転システムへの移行ペースを鈍化させる必要があるのではないか」と指摘する。

 さらに同氏は、メーカーの間で、インフォテインメントシステムの取り扱い方をめぐり分断が生じると予測する。「メモリ価格が上昇しても、ハイエンドのインフォテインメントシステムは、価格の上昇分を吸収することが可能な高級車市場において引き続き採用されていくだろう」と説明する。

 しかし、より幅広い一般向けのアプローチは異なるようだ。山路氏は「マスマーケット分野では、メーカー各社が、スマートフォンのコネクティビティ向けに設計したデバイスへ切り替えるなどの措置を取り、引き続きコストを削減することで、自動車の出荷台数全体に対するマイナスの影響が最小限に抑えられるのではないだろうか」と述べる。

 シリコン供給の縮小によって、アナリストが「メムフレーション(Memflation)」と呼ぶ現象が引き起こされ、DRAM価格は四半期ごとに約2倍に高騰し、プレミアムなスマートEVの製造コストは約880〜1470米ドル上昇している。

 Wilford氏は「自動車メーカーは、厳格な認証要件を順守しながら、このような供給不足をどのように乗り切ればよいか」という問いに対し、実用的な部品分配の手法を提案している。「並列的に追求すべき戦略が2つある。1つは、『ミックスド・クリティカリティ』(複数の異なる安全レベルを要求されるソフトウェアを単一のチップ上で実行すること)の追求だ。供給制約のある市場では、妥協が必要である」と述べる。

 2つ目としてアーキテクチャの変更を挙げた。「ゾーンアーキテクチャへの進展状況を確認する価値もある。チップ数を減らしつつ、チップサイズを大きくすれば、全てを分散させるよりもメモリ需要は少なくなるだろう」

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