金属二次電池向け電解液の設計指針確立、東京大ら:イオンの「硬さ、柔らかさ」が重要
東京大学と米メリーランド大学の研究グループは、金属二次電池では電解液中に存在するイオンの「硬さ」や「柔らかさ」によって、電池反応の起こりやすさが大きく変わることを発見した。水系亜鉛二次電池を用いた実証実験では、99.9%を超える極めて高い電池効率を達成した。
水系亜鉛二次電池で、99.9%を超える高い電池効率を達成
東京大学と米メリーランド大学の研究グループは2026年5月、金属二次電池では電解液中に存在するイオンの「硬さ」や「柔らかさ」によって、電池反応の起こりやすさが大きく変わることを発見したと発表した。水系亜鉛二次電池を用いた実証実験では、99.9%を超える極めて高い電池効率を達成した。
金属二次電池は、金属イオンが電子を受け取り金属として析出、再び電子を放出して金属イオンとして溶解する電気化学反応を利用して、エネルギーの貯蔵と放出を行う。従来のリチウムイオン二次電池を上回るエネルギー密度を実現できるのが特長だ。ところが多くの場合、金属析出反応を進めようと強い駆動力をかけると、エネルギー貯蔵過程で電解液の分解を伴う副反応が生じる。これによって、電池の寿命や効率が大幅に低下するという。
研究グループは今回、電解液中のイオン間相互作用に着目した。金属イオンは陽イオンと反発し、陰イオンとは引っ張り合う。こうした反発と引力のバランスによって熱力学的な安定性が変わるという。このバランスを制御する上で重要となるのがイオンの「硬さ」と「柔らかさ」であることを発見した。
これに基づき、硬い陽イオンによる強い反発と、柔らかい陰イオンによる弱い引力を組み合わせ、金属イオンの安定性を低下させる電解液を設計した。この結果、小さい駆動力でも金属析出反応が進行し、副反応を抑えることができた。水系亜鉛電池による実験では、世界最高水準の電池効率を達成したという。
研究グループによれば、今回開発した設計指針は金属電池に限らず、レドックスフロー電池や燃料電池などにも適用できるとみている。
今回の研究成果は、東京大学大学院工学系研究科の山田淳夫教授、ZHANG Qiu特別研究員(当時)、KO Seongjae講師、坂田大成大学院生(当時)、西村真一特任研究員、竹中規雄特任講師、北田敦准教授、米メリーランド大学のWANG Chunsheng教授らによるものである。
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