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三菱電機、SiC MOSFETのAC特性変動「世界最小」級と実証「望んだ性能が続くか」が重要な競争軸に(1/3 ページ)

SiC MOSFETの採用拡大が本格化する中、実際の使用環境に近いAC動作を繰り返すことでゲートしきい値電圧(Vth)が変動し、設計時に想定した損失や熱特性が変化する課題が注目されている。こうした特性変動を評価するDGS試験において、三菱電機は同社SiC MOSFETの特性変動量が「世界最小クラス」(同社)であることを実証したという。

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 炭化ケイ素(SiC)MOSFETの採用拡大が本格化する中、実際の使用環境に近いAC動作を繰り返すことでゲートしきい値電圧(Vth)が変動し、設計時に想定した損失や熱特性が変化する課題が注目されている。三菱電機は、こうした特性変動を評価するDGS(Dynamic Gate Stress)試験において、同社SiC MOSFETの特性変動量が「世界最小クラス」(同社)であることを実証したという。

 2026年6月10日、ドイツ・ニュルンベルクで開幕している世界最大規模のパワーエレクトロニクス展示会「PCIM Expo & Conference 2026」(2026年6月9〜11日)で発表した。

成果の概要
成果の概要[クリックで拡大] 出所:三菱電機

 SiC市場では現在、低オン抵抗やスイッチング性能そしてコストが競争の中心となっている。しかし車載など中心に採用が広がり市場が成熟するにつれて、長期間使用した際の特性維持能力にもより関心が集まり始めていて、より重要な差別化要因となっていきそうだ。

DC試験では見えなかった特性変動

 SiC MOSFETは、従来のSi(シリコン)パワー半導体に比べ、高い絶縁破壊電界強度や優れた熱特性を持つ。これによって電力変換機器の小型化や低損失化、高速動作、高温動作といったメリットが得られることから、電気自動車(EV)や再生可能エネルギー、産業機器市場など採用が拡大している。

 一方で、信頼性面では課題も残る。SiCデバイスはSiデバイスに比べてゲート酸化膜近傍の界面準位や結晶欠陥が多く、長期間の使用や高温、高電圧環境下で特性変動が生じる可能性がある。

 こうした課題を評価するために、業界ではさまざまな信頼性試験が標準化されていた。ただ、これまでは高温ゲートバイアス試験(HTGB)や高温逆バイアス試験(HTRB)、高温高湿逆バイアス試験(H3TRB)など、主にDCストレスを印加する試験が中心だった。

 しかし近年、実際の使用環境に近いACストレス下で評価すると、DC試験では見えなかった特性変動や劣化が確認されるようになったという。このため、動的ゲートストレス試験(DGS)や動的逆バイアス試験(DRB)、動的高温高湿逆バイアス試験(D-H3TRB)などの評価手法にも注目が集まっている。今回三菱電機は、その中でもDGS試験を用いて各社SiC MOSFETの特性変動を比較評価した。

近年、ACストレス下で評価試験が注目されているという
近年、ACストレス下で評価試験が注目されているという[クリックで拡大] 出所:三菱電機

プレーナーとトレンチ型の違い

 評価結果を理解する上で重要なのが、SiC MOSFETの構造の違いだ。SiC MOSFETには大きくプレーナー型とトレンチ型の2種類がある。プレーナー型はSiC基板表面にゲート構造を形成する方式で、ゲート酸化膜にかかる電界を抑えやすく、高い信頼性を確保しやすい。ゲート容量が小さいためスイッチング損失も低く、高耐圧用途にも適している。一方で、低オン抵抗化ではトレンチ型に及ばない。

プレーナーとトレンチ型の違い
プレーナーとトレンチ型の違い[クリックで拡大] 出所:三菱電機

 これに対してトレンチ型は、SiC基板に形成した溝(トレンチ)の内部にゲート構造を設ける。セル密度を高められるため低オン抵抗化に有利だ。ただ、トレンチ側壁や底部にもゲート酸化膜を形成する必要があり、プレーナー型に比べると信頼性確保が難しいとされる。

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