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AMDがメモリ最適化技術の新興を買収 「メモリの壁」を打破できるかソフトも含めたフルスタックAI企業に(1/2 ページ)

AMDは2026年6月、予測型メモリ技術に特化したスタートアップのMEXTの買収を発表した。同技術はNANDフラッシュメモリをDRAMのように動作させ、性能を犠牲にせずにコストを削減し、利用可能な容量を拡大するものだ。

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 メモリ容量と速度の制約によってパフォーマンスが制限される「メモリの壁」は、重大な問題だ。AMDは2026年6月15日(米国時間)、米国カリフォルニア州サンタクララに拠点を置くメモリメーカーのMEXTを買収した。MEXTは予測型メモリ技術を専業としている。

 この買収によって「AIスケーリングでは、コンピューティング性能だけでなく、メモリがますます重要な問題になりつつある」という前提が裏付けられた。データセンターやその他のAI導入向けにCPU/GPUを販売しているAMDは、データセンター環境におけるメモリへのアクセスや効率性をよりうまく管理すべく、ソフトウェア主導のメモリ最適化技術を追加しようとしているのだ。

 さらに、クラウドコンピューティングやAI導入においてはメモリボトルネックへの対応が重要視されていることが明確になった。加えて、メモリ管理を改善することで、より高効率なAIワークロードの導入や、データセンター事業者の総所有コスト(TCO)削減などを実現できる可能性があることも浮き彫りになった。MEXTのメモリソリューションは、フラッシュメモリレベルの経済性と容量で、DRAMクラスの性能を提供することが可能だという。

従来のメモリピラミッドとMEXTのメモリピラミッド
従来のメモリピラミッドとMEXTのメモリピラミッド[クリックで拡大] 出所:MEXT

 ここで指摘すべき重要な点は、「大規模AI導入では、コンピューティング性能ではなくメモリが常に制約となっていて、DRAMは現在、サーバ設計において最も供給不足かつ高額なものになっている」ということだ。調査会社International Data Corporation(IDC)のエンタープライズインフラ部門担当シニアバイスプレジデントを務めるMast Eastwood氏は「DRAMの供給制約が続き、メモリコストが高止まりする中、企業各社はソフトウェア主導のアプローチに注目し、利用率の向上やオーバープロビジョニングの低減を実現しようとしている」と述べる。

AIの進化に立ちはだかる「メモリの壁」

 AIモデルやデータ分析、仮想化、高性能コンピューティング(HPC)などで使われる大量のデータセットによって、現在メモリが主要なボトルネックになっている。またメモリは、帯域幅やレイテンシ、容量、コスト、利用率などの他、ワークロードによるデータ転送効率といった面でもボトルネックになりつつある。

 XboxのCEOであるAsha Sharma氏は最近、業界紙の取材に対し「メモリコストはここ2年間で約5倍に上昇した」と述べ、大きな波紋を広げた。メモリコストの上昇で同社は、消費者の需要に応えられるだけのゲーム機を製造できなくなっている。

 DRAMは、プロセッサやネットワーク機器、ストレージとは異なり、Intelが1970年に最初のデバイスを発表して以来、アーキテクチャがほとんど変化していない。また、数十年間にわたり使われてきたDRAMアーキテクチャを置き換えようとする試みは、全て失敗に終わっている。DRAMのコスト低減や容量拡大などの取り組みは停滞し、Intelの「Optane」のような潜在的ソリューションに膨大な資金が投じられたものの、成功を収めることはできなかった。

主要クラウドプロバイダーの調査では、データセンターのメモリ使用率はしばしば50%を下回る
主要クラウドプロバイダーの調査では、データセンターのメモリ使用率はしばしば50%を下回る[クリックで拡大] 出所:MEXT

 Gary Smerdon氏は2023年3月、サーバメモリのコストを劇的に削減しながら大幅な大容量化を実現する予測型メモリ技術を開発すべく、MEXTを設立した。同社の目標は、データセンターにおける最大のコスト要素であるサーバメモリ/DRAMの課題解決に取り組むことだった。当時DRAMは、サーバコスト全体の約50%を占めていたが、2026年現在、AIが加速してDRAM需要が急増するに伴い、その割合は約60%まで拡大している。

 MEXTのソリューションは、DRAMとフラッシュメモリを組み合わせたハイブリッドアーキテクチャを構築することだった。しかしフラッシュメモリは、DRAMと比べてコストが約50分の1、消費電力が30分の1と非常に経済的である一方で、速度はDRAMの500分の1と遅いことが課題となった。では、積極的に利用されていないコールドメモリページをフラッシュメモリに移動させて、それが次にいつ必要になるのかをAIアルゴリズムが予測するとしたらどうだろうか。

 このような前提が、モデルアーキテクチャではなくインフラの効率性をターゲットとする、予測型メモリ技術の基盤となった。このため、メモリ利用率が少しでも向上すると、スループットやハードウェア利用率、TCOなど、全体の有意義な改善につながる。

 MEXTのソリューションは、AI駆動型のメモリ最適化技術によって、現代のコンピューティングインフラにおける最大のボトルネックの1つとされるメモリの壁に対応することだ。しかし同社は、誰もが解決不可能だと考える問題に取り組もうとしている。それは、DRAMの非効率性の問題と、利用率が慢性的に低い1000億米ドル規模市場の問題だ。

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