AppleとBroadcomの「300億ドル契約」、Intelにもチャンスか:半導体の「国内回帰」加速(1/2 ページ)
米国EE Timesが取材したアナリストによると、Appleが2026年7月に発表したBroadcomとの300億米ドル規模の契約は、Appleのデータセンター事業における成長とともに、米国のサプライチェーンの強化やIntelの新たなビジネスチャンスを意味しているという。
Appleは2026年7月8日(米国時間)、Broadcomとの複数年にわたる契約を締結したと発表した。同契約において、BroadcomはApple製品向けのカスタム半導体の製造およびワイヤレス接続技術の供給を行う。300億米ドルを超えると見込まれるこの契約は、Appleが米国経済に4年間で6000億米ドルを投資し、エレクトロニクス製造の復活、雇用の創出、技術開発を支援するという計画の一環である。
Broadcomは、米国の製造業の強化を目指してAppleが2025年に立ち上げた「米国製造プログラム(AMP:American Manufacturing Program)」に参画している。Broadcomとの契約は、AppleにとってAMPにおける過去最大の取り組みであり、Broadcomは、Appleの15億米ドルの設備投資によって、コロラド州フォートコリンズにある施設を拡張する。Broadcomはフォートコリンズの施設で、フィルムバルク音響共振器(FBAR)フィルターを含む、先進の無線周波数部品をApple向けに製造する。
この契約により、米国で製造される半導体は150億個を超え、数百もの米国人の雇用が創出される見込みだ。Appleはこれまで、米国政府や企業と協力して、米国におけるエンドツーエンドのシリコンサプライチェーンの構築を支援してきた。
TechInsightsのバイスチェアマンを務めるDan Hutcheson氏は米国EE Timesに、「AppleとBroadcomの合意の背景には、グローバルに開かれた効率重視の経済システムから、国家安全保障やサプライチェーンの安全性を重視し、コスト効率よりもオンショアリング(国内回帰)を優先する地域ベースのシステムへの、大規模な地政学的シフトがある」と語った。「今回の新たな契約は、2025年8月にドナルド・トランプ米大統領が『Appleは米国への投資計画を1000億米ドル増額し、6000億米ドルにする』と発表して以来の、AppleのAMPに対するコミットメントを明確に示したものである。合意の背景には、Appleの強みがモバイルAPUに重点を置いたxPU設計であるのに対し、Broadcomは無線周波数分野に強みを持っていることもある」(Hutcheson氏)
Hutcheson氏によると、Appleは現在、BroadcomからWi-Fi/BluetoothコンボSoC(System on Chip)およびRFフロントエンドモジュールを購入しているという。
同氏は「Appleは、自社のSoCへのWi-Fi/Bluetooth設計の統合を進めている。また、BroadcomからFBARフィルターも調達している。これらはワイヤレスアプリケーションにとって不可欠である」と述べている。
FBARフィルターは、モバイルデバイスやワイヤレスシステムにおいて電波を分離する役割を果たし、5GやWi-Fiなどの目的の信号を通過させつつ、干渉する周波数を遮断する。
Hutcheson氏の推計によると、Appleとの契約により、2031年までのBroadcomの売上高は年間約60億米ドル増加する見込みだという。
AppleがBroadcomのフォートコリンズ工場に投資するのは、「アクセス」を獲得するためだと同氏は指摘している。
Hutcheson氏は「私の見解では、AMPへのコミットメントを考えると、Appleが最も関心を持っているのは、Broadcomのフォートコリンズ工場で製造されたチップへのアクセスを獲得することだ。その次に重視しているのは、Broadcomのカスタムシリコンの専門知識だ。15億米ドル(フォートコリンズへの投資額)はそれほど高額に思えないかもしれないが、これはアップグレードに100億米ドル以上、新規施設に300億米ドル以上かかるような最先端のロジックファブではない。フォートコリンズは200mmウエハー対応のRFファブだ」と付け加えた。
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