微細化で変わる材料の役割 富士フイルムのR&Dを変えたDX戦略とは:独自デジタルツインを開発(1/2 ページ)
富士フイルムは2026年7月14日、同社半導体事業のR&Dにおけるデジタルトランスフォーメーション(DX)戦略について、メディア向け説明会を開催した。半導体微細化によって材料メーカーに課題解決の役割が求められるなか、同社は独自のデジタルツインを導入。活用によって2030年度の売上5000億円達成を目指す。
半導体微細化で材料メーカーの役割が変化
富士フイルムは2026年7月14日、同社半導体事業のR&Dにおけるデジタルトランスフォーメーション(DX)戦略について、メディア向け説明会を開催した。
富士フイルムは中期目標として、2030年度に半導体事業の売上高5000億円を達成することを掲げ、実現に向けてR&Dへの投資を加速させる。
富士フイルムのシニアフェローを務める野口仁氏によると「近年、先端半導体の微細化によって、材料メーカーに求められる役割が変わりつつある」という。 「従来は半導体メーカーの要求に応じて、求めるスペックを満たす材料を提案してきたが、近年は課題が複雑化するとともに開発サイクルも早まっている。現在、材料メーカーは顧客と議論を重ね、課題解決ソリューションを提供することが求められる」(野口氏)
これまでは開発者の経験や勘といったノウハウを起点に開発してきたが、一定の時間やコストがかかるほか、既存の枠組みを超えた発想は出づらく、実際に完成しても、顧客環境で期待した結果が出ないこともあった。こういった課題を解決するため、富士フイルムは独自のデジタルツイン環境を開発した。
富士フイルム独自のデジタルツインは、シミュレーションによる課題解析や仮説検証、材料設計、実験/評価まで一気通貫で進めることができる。シミュレーションには材料化学の知見に加え、富士ゼロックスの複合機開発で培った物理の知見も活用する。例えばCMPスラリー開発であれば、銅配線に対する化学的作用に加え、研磨パッド上での流体挙動もシミュレーションできる。
このデジタルツインと、最適な開発プロセスを導くためのモデル化された思考力が鍵だと野口氏は述べる。「生成AIでも、いかに質の高い問いを立てられるかが重要なように、顧客の声から本質的な課題を捉え、技術の文脈で理解して開発プロセスにつなげることが重要だ。写真フィルムの時代から現象解析のための思考力を培い、社内に有していることも富士フイルムの特徴といえる」(野口氏)
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