検索
特集

AI需要でシリコンフォトニクスに「300mmウエハー化」の波STは「PIC100」展開強化(2/3 ページ)

AIの急速な普及は、シリコンフォトニクスの世界にも影響を及ぼしている。より高速なデータ通信への要求が高まるにつれ、シリコンフォトニクスの需要が増え、300mmウエハーへの移行が急がれているのだ。

Share
Tweet
LINE
Hatena

銅配線の限界

STのSylvie Gellida氏 出所:ST
STのSylvie Gellida氏 出所:STMicroelectronics

 その直接的なけん引要素として挙げられるのが、AIインフラ内部で銅から光への移行が進んだことだ。銅は現在も、短い電気接続向けに広く使われているが、帯域幅やクラスタが拡大するに伴い、伝送距離や電力効率、シグナルインテグリティなどの面で限界に達しつつある。

 Gellida氏は「AIデータセンターでは、ラック内でより優れたルーティング機能が必要とされ、さらにシステムエレメント間のもっと狭い物理的空間において、より多くの帯域幅が求められている。銅は、この両方をますます制約するようになってきた。光接続は、伝送距離や損失、シグナルインテグリティを改善しながら、電気信号と光信号を相互変換する光エンジンの小型化にも対応可能だ」と述べている。

 また同氏は「プラガブル光トランシーバーは依然として、特にスケールアウトネットワーク向けの最大の短期的市場と位置付けられている。今後はNPO(Near Package Optics)が、オプティクスをASICの近くに移動させることで、中間的なステップとして機能し、その後にエコシステムで信頼性/保守性の課題が解決されていくと、CPO(Co-Packaged Optics)が登場するだろう」と述べる。

 パッケージングは、このようなロードマップの中核となる。STは現在、PIC100および「BiCMOS」プラットフォーム向けの選択肢として、TSV(Through-Silicon Via)の開発を進めている。Gellida氏は「TSVは、フォトニックICや基板、電子回路の間の相互接続損失を低減し、小型化やシグナルインテグリティ、性能の向上を実現できる。しかし、光をコンピュートに近接させるためには、熱設計や光ファイバー用接着部品、新しい保守性モデルなども必要になる」と述べている。

PIC100を300mmプラットフォームで

 STのPIC100プラットフォームは、光インターコネクトに向けた同社最新のシリコンフォトニクス技術だ。このPIC100という名称は、光回路(PIC:Photonic Integrated Circuit)を採用し、1レーン当たり200Gビット/秒(Gbps)のアプリケーション向けに100GBaudの信号をサポート可能であることを示している。

 Gellida氏は「STが他と異なる点は、PIC100が1レーン当たり200Gbpsをサポート可能なことだけではない。他にもこのクラスの性能を実現することが可能なプラットフォームはある。その違いは、STがこの技術を300mmウエハーで拡充し、CMOS製造に匹敵する歩留まりを実証したという点にある。

 また同氏は「われわれは現在、フランスのクロル(Crolles)で300mmウエハーを用いたシリコンフォトニクスウエハーを供給している。300mmウエハー製造では、AIデータセンターやAI工場で必要とされる生産量に対応する上で、装置や精度、生産量、歩留まりなどを全て実現することができる」と述べる。

STの「PIC100」ウエハー
STの「PIC100」ウエハー[クリックで拡大] 出所:STMicroelectronics

 STの直接顧客は通常、ハイパースケーラー企業そのものではない。STのシリコンフォトニクスやBiCMOS技術を使用して光エンジンやトランシーバー、モジュールなどを製造する、トランシーバーモジュールメーカーやPIC設計企業である。そしてこれらのモジュールが、ハイパースケーラーのエコシステムに供給されるのだ。

 STの野望は、単なるウエハー供給だけにとどまらない。同社はシリコンフォトニクスに、レーザードライバー/電子回路向けBiCMOSや、モジュール制御向けSTM32マイコンの他、TSVやバンピング、パッケージング、テストサポートなどを含む先進パッケージングオプションなどを組み合わせている。Gellida氏はこれについて「光インターコネクトのビルディングブロックに向けた『ワンストップショップ』の実現を目指す動きだ」と説明する。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る