ロームが見る「1ラック1MW時代」のAIサーバ Si/SiC/GaNは共存へ:アナログ半導体も重要に(3/3 ページ)
AIサーバの高性能化に伴い、消費電力が急増している。ロームは、次世代AIサーバでは電源の高電圧化が進み、シリコン(Si)/炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)など異なるパワーデバイスが1つのシステム内で使われる「共存」の時代になるとみる。
アナログ制御も重要に
ロームがAIサーバ向けで重視するのはパワーデバイスだけではない。電力を安全かつ高精度に制御するアナログ半導体の需要も拡大すると予測する。
稼働中のサーバから機器を抜き差しする際などに電源を制御するホットスワップコントローラーでは、高電力化に伴って高速かつ高精度な保護機能が求められる。同社は±0.85%の電流/電圧モニターや500ナノ秒の短絡保護などの技術を紹介した。次世代800Vバスバー向けソリューションも開発している。
山口氏は「AIサーバではパワー半導体そのものだけでなく、それをどう制御するかも重要だ。GPUの電力が大きくなると、電流の変動が非常に大きくなる。そこにタイムリーに応答するためのポイントはアナログ制御だ。ゲート駆動やノイズ抑制はデジタルでは制御しきれない部分で、昔からロームがこだわってきた『職人技』の領域だ」と語る。ロームはパワーデバイスとアナログ半導体の双方を手掛けることをAIサーバ市場での強みと位置付けている。
SiCでもAIサーバ向け需要の拡大を見込む。同社は、第5世代SiC MOSFET(5G MOSFET)について、高温環境でのオン抵抗の変化を抑え、スイッチング損失を低減できる点を訴求する。AIサーバでは発熱量が増えるので、温度変化が大きい環境でも安定した特性を維持することが重要になるとしている。
2030年に1000億円超を目指す
ロームは、AIサーバ向けパワー半導体市場が2030年に約2兆5000億円規模まで拡大すると予測する。2025〜2030年の年平均成長率(CAGR)は48%を見込む。また、AIサーバに搭載される半導体の金額ベースの構成比では、GPU/AIアクセラレーターが65〜70%、HBMが15〜20%を占める一方、パワー/アナログ半導体も10〜15%を占めるとみる。
特にSiCについては、既存サーバと次世代サーバの双方で需要が拡大すると予測し、2025〜2030年のCAGRを50%と見込んでいる。
ロームはSi MOSFET、SiC MOSFET、GaN HEMTといったパワーデバイスに加え、DrMOSやホットスワップコントローラーなどのアナログ半導体、シャント抵抗やシリコンキャパシターなどの周辺部品をAIサーバ向けに展開する。2030年度には、これらAIサーバ向け製品で1000億円超の売上高を目指している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「捨てるはずのDDR4」を再利用 Meta、CXLでサーバ台数を25%削減
Metaは、運用を終えたサーバから回収したDDR4メモリをCXL経由で再利用し、サーバ台数を25%削減できるとしている。DDR5の価格上昇を背景に、こうしたメモリ再利用の経済的メリットは高まっている。一方、Metaのようにハードウェアからソフトウェアまで自社で制御できない企業では、DIMMとCXLコントローラーの組み合わせや相互運用性が導入の壁になる。
AIサーバ向け「生産キャパシティー超える受注」ローム
ロームの2026年度第1四半期業績は、売上高が前年同期比16.8%増の1357億円、営業利益は同4825.6%増の96億円、純利益は203.6%増の90億円で増収増益となった。インバーター向け炭化ケイ素(SiC)デバイスも欧州向け中心に売り上げが伸長するなど自動車向けが好調だったほか、パワーデバイスやLSIを中心にAIサーバ向け事業も拡大した。
三菱電機、米国にデータセンター向け冷却機器の新拠点
三菱電機は、米国オハイオ州にデータセンター向け冷却機器を製造する新会社を設立、2027年4月の製造開始を目指す。米国市場におけるデータセンター向け冷却機器事業について、システム設計提案から販売、保守までを一貫して提供するためのワンストップサービス体制を強化する。
AIサーバ用高密度基板の目視判定をAIで、OKIが新技術
OKIは、AIサーバなどに搭載される大型高密度基板の目視検査時間を約8割削減できる「目視判定AI技術」を開発した。同社が提供する「まるごとEMS」サービスに組み込むことで、AOI(自動光学検査)後に目視で行う検査時間を短縮し、検査精度を高められる。
AIが食い尽くすメモリ供給 企業ITを揺らす価格高騰
AIインフラの急速な構築により、高性能メモリの供給が逼迫(ひっぱく)する事態が続いている。特にメモリ調達担当者は、調達戦略を全面的に見直す必要があるだろう。


