半導体配線界面の化学構造変化を直接可視化、TRCら:ナノメートルオーダーで化学分析
東レリサーチセンター(TRC)と芝浦工業大学は、半導体製造工程において銅(Cu)配線とLow-k絶縁膜界面のごく限られた領域で生じる化学構造の変化を直接観察することに成功した。原子間力顕微鏡赤外分光法(AFM-IR)を用いることによって、化学変化をナノメートルオーダーで解析可能になる。
Si-CH3やSi-H結合の減少、OH成分の増加を観測
東レリサーチセンター(TRC)と芝浦工業大学デザイン工学部の田邉匡生教授は2026年8月、半導体製造工程において銅(Cu)配線とLow-k絶縁膜界面のごく限られた領域で生じる化学構造の変化を直接観察することに成功したと発表した。原子間力顕微鏡赤外分光法(AFM-IR)を用いることによって、化学変化をナノメートルオーダーで解析可能となる。
エッチングや洗浄、化学機械研磨(CMP)といった半導体製造工程では、Cu配線とLow-k絶縁膜の界面近傍に微小な化学構造変化を生じることがある。これが、絶縁特性の低下や、デバイス性能の劣化につながる要因となっていた。原因の解析には官能基レベルの分析が有効となるが、従来の赤外分光法だと測定領域が広すぎ、微小領域で生じる化学的構造変化を直接評価するのが極めて難しいという。
そこで今回は、微小領域の化学分析が可能なAFM-IRに着目した。半導体配線構造を模擬したCu/Low-k絶縁膜試料を作製するとともに、AFM-IRを用いてLow-k絶縁膜中央部とCu配線界面近傍の化学構造を調べた。
AFM-IR測定の結果、Low-k絶縁膜中央部に比べ、Cu配線近傍ではSi-CH3(メチル基)および、Si-H結合が減少していることを突き止めた。水素基(OH)に由来する成分が増加していることも分かった。さらに、これら化学構造の変化は、界面から数十nmという極めて狭い領域に集中していることが判明した。
Low-k絶縁膜中のSi-CH3は、低誘電率特性を維持するために重要だという。今回の測定で判明した「Si-CH3やSi-H結合の減少」「OH成分の増加」は、Low-k絶縁膜の絶縁特性低下につながる可能性を示すものだという。
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