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ペロブスカイト太陽電池の受託分析サービスを開始:層構造を忠実に反映して解析
東レリサーチセンター(TRC)は、京都大学化学研究所の若宮淳志教授と連携し、ペロブスカイト太陽電池の層構造を忠実に反映して解析できる技術を開発し、この技術を用いて「受託分析サービス」を始めると発表した。
GCIB-TOF-SIMSを適用し、試料を冷却した状態で測定
東レリサーチセンター(TRC)は2025年11月、京都大学化学研究所の若宮淳志教授と連携し、ペロブスカイト太陽電池の層構造を忠実に反映して解析できる技術を開発し、この技術を用いて「受託分析サービス」を始めると発表した。
ペロブスカイト太陽電池は、塗工プロセスを用いて発電層の製膜が可能で、フィルム上にも製膜ができる。従来のシリコン型に比べ製造が容易で、軽量、柔軟、低コストなどメリットは多い。ただ、水分や熱に対する化学定安定性は低く、分解や劣化が起きやすいという課題があった。
研究チームは今回、表面から深さ方向にわたる元素・分子の分布を高感度かつ高分解能で測定できる「GCIB-TOF-SIMS(ガスクラスターイオンビーム照射型の飛行時間型二次イオン質量分析法)」を用い、試料を冷却した状態で測定した。
この結果、測定時に生じるホルムアミジニウム(FA)やメチルアンモニウム(MA)など低分子有機成分の揮発や、ペロブスカイト材料の変性を大幅に抑えた。これにより、ペロブスカイト太陽電池の光吸収層や正孔回収層など、本来の成分分布を高い精度で捉えることに成功した。
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![室温と冷却下におけるペロブスカイト膜/ITO電極のGCIB-TOF-SIMSによる各種イオンの深さ分布[クリックで拡大] 出所:TRC](https://image.itmedia.co.jp/ee/articles/2511/20/tm_251120toray01.jpg)