「もう寝るから後はよろしく」 半導体検証までAIで自律化:Fuse EDA AI Agentの拡張機能(1/2 ページ)
シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアは2026年9月、都内で記者説明会を開催し、EDA向けAIエージェント基盤「Fuse EDA AI Agent」の拡張機能について説明した。NVIDIAのAI技術と組み合わせたもので、AIエージェントが自ら検証しながら長時間、自律的に設計フローを進められるようになる。
シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアは2026年9月4日、東京都内で開催したユーザー向けカンファレンス「Siemens EDA Tech Forum 2026」を開催した。それに併せて記者説明会を実施し、AIエージェントが「検証」まで行うという新たな拡張機能について語った。
Siemens EDAのIC製品担当エグゼクティブバイスプレジデントを務めるAnkur Gupta氏は冒頭、「半導体およびエレクトロニクス産業は、一世一代の変革期のさなかにある」と強調した。さらに、Rapidusが2nm世代プロセスを適用した最先端チップの量産に向け開発を進めるなど、日本もそうした変革の中心にあり、Siemens EDAは今後も日本の半導体設計エコシステムの強力なパートナーであり続けると述べた。
Gupta氏は、あらゆる分野においてAIの普及拡大が進む中、チップの設計/検証にもごく当たり前にAIが使用される「AI-native chip design」の時代が到来していると語る。Siemens EDAは「Faster engine」「Smarter execution」「Trusted outcomes」という3つの戦略に基づき、AIを活用したEDAツールの拡充を進めてきた。
「Faster engine」はその名の通り、EDAツールでさまざまな処理を行うエンジンを高速化する。これにより、シミュレーションなどで処理性能を最大1000倍高速化することに成功したという。「Smarter execution」は、EDAにAIを導入することでエンジニアの生産性を向上させることを目指すもの。「Trusted outcomes」は“正しく検証すること”を含め、成果の信頼性向上を意味する。「チップの設計と製造は非常にコストが高い。検証結果に誤りがあり、大きな手戻りが発生すれば、企業の倒産を招くリスクすらある。AIによってどれだけ設計を効率化しても、検証結果が正しくなければ意味がない」(Gupta氏)
AIによる「自己検証」の機能を追加
上記の戦略を進めるべく、Siemens EDAが提供するのが、半導体/PCB設計に生成AIやエージェンティックAIを導入するためのプラットフォーム「Fuse EDA AI System」だ。2025年6月に発表した。2026年3月にはそれを拡張して、Siemensが手掛ける複数の設計ツールを横断し、オーケストレーションさせて設計フローを進める「Fuse EDA AI Agent」を発表した。そして今回、Fuse EDA AI Agentを「自己検証型(Self-verifying)」かつ「長時間の自律稼働(long-running)」へと、さらに拡張する機能を追加した。
今回の機能拡張は、NVIDIAとのパートナーシップ戦略の拡大に基づくものだ。Fuse EDA AI Agentに、NVIDIAの新たなAI技術を組み込み、AIエージェントが決定論的な物理ベースのEDAエンジンで推論、実行、検証しながら長時間、設計フローを継続する。これにより、成果(設計結果)の品質、ツール呼び出しの信頼性、トークン効率の向上を実現できるとする。
なお、Fuse EDA AI Systemはオープンなプラットフォームである。Gupta氏は「MCP(Model Context Protocol)サーバやAPI(Application Programming Interface)を提供しているという条件の下であれば、他社のEDAツールをFuse EDA AI Systemに連携させることも可能だ」と説明した。
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![AIを活用したEDAツールにおける、Siemens EDAの3つの戦略[クリックで拡大] 出所:Siemens EDA](https://image.itmedia.co.jp/ee/articles/2609/08/mm260908_eda02.jpg)

![Fuse EDA AI Agentの構成要素[クリックで拡大] 出所:Siemens EDA](https://image.itmedia.co.jp/ee/articles/2609/08/mm260908_eda03a.jpg)