人の動きを「見まね」 人型ロボットがスケボーに挑戦!:NEDOが「CEATEC 2026」で実演(1/2 ページ)
NEDOは「CEATEC 2026」で、ヒューマノイドロボットがスケートボードに乗るデモを披露した。人間の動きを計測し、仮想空間でAIに学習させる「見まね学習」によって、複雑な身体制御を実現する技術だ。将来は人と安全に協働できるロボットの実現を目指す。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、「CEATEC 2026」(2026年10月13〜16日、幕張メッセ)に出展し、ヒューマノイドロボットがスケートボードに乗るデモンストレーションを披露した。人間の動きをAIに学習させる「見まね学習」によって、複雑で俊敏な身体制御を実現する技術を用いた。
今回の展示は、国際電気通信基礎技術研究所(ATR)と京都大学が取り組む研究開発「サイボーグ生成AI」の一環だ。
昨今、人手不足が深刻化する中、製造や物流、介護など、さまざまな現場でフィジカルAIやヒューマノイドロボットの活用が期待されている。人と同じ空間で安全に作業するには、単に決められた動作を繰り返すだけでなく、周囲の状況に合わせて柔軟かつ素早く身体を動かす能力が欠かせない。
ATRは2020年度から、京都大学や産業技術総合研究所(産総研)と共同で、人間のような俊敏な動きができるロボット搭載用AI「サイボーグAI」の研究開発に取り組んできた。2025年度からは、その成果を発展させたサイボーグ生成AIの研究開発を進めていて、人との協働に必要な安全性や、人にとっての安心感なども考慮したロボットの実現を目指している。
人の動きを「見まね」、仮想空間で約24時間学習
ロボットの動作をAIに学習させる手法の1つに、目標を達成できるよう試行錯誤を繰り返し、適切な動作を獲得する「強化学習」がある。しかし、自由度の高いヒューマノイドでは、取りうる動作の選択肢が膨大になってしまう。
そこでATRが採用したのが、人間の動きを手本にする「見まね学習」だ。人間が実際に行っている動作を学習の手掛かりにし、強化学習と組み合わせることで、人間にとって自然で望ましい動作をロボットに習得させる狙いがある。
今回のスケートボードの動作も、人間の動きを学習することで実現した。学習は3つの手順で進める。
第1に、スケートボードに乗る人間の動きを、モーションキャプチャー技術で計測する。第2に、そのデータをロボットの身体構造に合わせて変換し、コンピュータ上のシミュレーション空間に再現する。ここで、ロボット自身がバランスを取って動けるように学習させる。
このとき重要なのが、現実の環境とシミュレーション空間の違いへの対応だ。シミュレーションでは理想的な条件を設定できるが、現実のスケートボードは車輪の状態や路面の条件などによって動きが変わる。仮想空間でうまく動けても、実機で同じ動作ができるとは限らない。
この問題に対処するために、学習時にさまざまな条件の変動やノイズを与える「環境乱択化」と呼ばれる手法を活用する。あらかじめ多様な状況を経験させることで、実際の環境でも安定して動けるようにするという。
第3に、シミュレーションで学習した制御技術を実機に転移する。実機で追加の学習を行わず、シミュレーションで得た学習成果をそのまま適用する「ゼロショット転移」と呼ばれる手法だ。
ATRによると、人間の動作データをロボット向けに変換する工程には約5分、シミュレーション空間での学習には約24時間を要したという。
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