ニデックが役員責任報告書を公表、永守氏ら歴代5社長の責任詳述:損害額276億円(1/3 ページ)
ニデックは2026年10月20日、一連の会計不正問題を巡り、役員責任調査委員会の調査報告書を公表した。報告書では、創業者の永守重信氏や元会長の小部博志氏をはじめ、吉本浩之氏、関潤氏、岸田光哉氏ら歴代5社長について、それぞれの任務懈怠(けたい)の具体的な内容を詳述している。
ニデックは2026年10月20日、一連の会計不正問題を巡り、役員責任調査委員会の調査報告書を公表した。報告書では、創業者の永守重信氏や元会長の小部博志氏をはじめ、吉本浩之氏、関潤氏、岸田光哉氏ら歴代5社長について、それぞれの任務懈怠(けたい)の具体的な内容を詳述している。
営業利益目標を優先、減損処理を長年先送り
報告書によると、ニデックでは営業利益目標の達成を優先し、本来必要な減損損失などの計上を先送りする会計処理方針が長年にわたって採られていた。永守氏が不適切な処理方針を決定/容認し、小部氏もこれを容認。後任の社長らも必要な是正措置を講じなかったという。2025年3月期には、当時社長だった岸田氏らが約492億円の構造改革費用を営業利益目標とは別枠で計上する案を提案したものの、永守氏が営業利益2400億円の達成を求め続けたため、必要な損失処理の多くが先送りされたという。
ニデックは2026年10月16日、役員責任調査委員会から報告書を受領し、上記5人のほか、元取締役専務執行役員の佐藤明氏、元取締役(監査等委員)の村上和也氏と落合裕之氏について、会社法423条1項に基づく損害賠償責任が認められたと発表していた。また、当時最高財務責任者(CFO)を務めていた氏名非開示の元執行役員1人についても、民法や執行役員規程に基づく損害賠償責任が認められたとしている。今回、営業秘密や個人のプライバシーなどを保護するための一部非開示措置を終え、報告書を公表した。
利益目標から逆算して損失処理を決定
役員責任調査委員会は、調査対象者の任務懈怠(義務違反)について、『負の遺産』の解消に向けた全社的な取り組みと、個別の会計不正事案の2つに分けて調査/検証した。
報告書によると、ニデック経営陣は、グループ内で会計不正が疑われる事案が多数発生し、資産性に疑義のある「負の遺産」が滞留していることを認識していた。その解消に向けて2016年11月から「資産健全化プロジェクト」、2022年度には「FY22構造改革」を進めた。しかし、いずれも営業利益目標を達成できる範囲で損失処理を認める方針が採られ、本来必要な処理が先送りされていたという。
通常は、会計基準に従って必要な減損損失などを計上し、その結果が営業利益に反映される。これに対し、ニデックでは先に達成すべき営業利益の額を決め、そこから逆算して損失処理の対象や金額を決定していた。委員会は、こうした処理方針が企業会計の基本的な理念に反すると指摘した。
委員会は、経営トップの永守氏と小部氏が会計処理について誤った考えを持ち、それを是正すべきCFOが経営トップの意向を優先して不適切な処理方針を策定/実施したと指摘。後任の歴代社長や常勤監査役も是正せず、不良資産の処理が長年にわたって先送りされてきたことが「ニデックにおける会計不正の実態だ」と総括。「個別の会計不正事案において不適法な会計処理がされたかどうかという点を検討するまでもなく、このような全社的取組において誤った処理方針を策定/継続してきたという点において、上記の取締役および執行役員にはそれぞれ任務懈怠が認められる」と結論付けている。
委員会は、こうした全社的な処理方針の策定/継続に関する責任に加え、精密小型モータ事業や車載事業で発生した個別の会計不正についても、各役員の関与や是正義務の有無を検証した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.