検索
ニュース

「大手とは競わない」 タイワンセミコンダクターの車載戦略とは:新MOSFETで日本展開強化(1/2 ページ)

台湾の半導体メーカー、Taiwan Semiconductorが2026年10月27日、車載向けパワーMOSFET「PerFET」シリーズの新製品について、日本での販売開始を発表した。今回、日本法人の代表兼日本統括責任者を務める佐藤正信氏に、新製品の特徴や開発の狙い、今後の事業戦略について聞いた。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

48Vシステムの普及見据え、MOSFET事業の強化を進めるTSC

 台湾の半導体メーカー、Taiwan Semiconductor(タイワン・セミコンダクター/以下、TSC)は2026年10月27日、車載向けパワーMOSFET「PerFET」シリーズの新製品について、日本での販売開始を発表した。同社は車載48Vシステムの普及拡大などを見据え、MOSFET事業の強化を進めている。日本法人タイワン・セミコンダクター・ジャパンの代表兼日本統括責任者を務める佐藤正信氏に、新製品の特徴や開発の狙い、今後の事業戦略について聞いた。

車載向けパワーMOSFET「PerFET」シリーズの新製品
車載向けパワーMOSFET「PerFET」シリーズの新製品[クリックで拡大] 出所:タイワン・セミコンダクター・ジャパン

  TSCは1979年に台湾の台北市で設立され、ディスクリートパワー半導体や回路保護デバイス、アナログICの開発/製造/販売を手掛ける半導体メーカーだ。創業当初は主に整流ダイオードを手掛けていたが、2000年以降、MOSFETやLDOレギュレーター、LEDなどにも製品群を拡張。2018年にはonsemiからTVSダイオード事業を買収した。MOSFET事業は20年近い歴史があり、車載用途でも10年以上の採用実績を持つという。

 佐藤氏によると、TSCの2025年の売上高は2億600万米ドルで、2024年の1億8800万米ドルから約9.6%増加した。製品別ではダイオードおよびTVSダイオードが売上高の約70%、MOSFETが約14〜15%を占める。MOSFETの売上高も全社と同程度の伸びを示しているという。

 TSCは2025年6月、車載48Vシステムを意識した80V、100V耐圧のPerFETシリーズを発表し、日本のMOSFET市場への本格参入を表明した。PerFETはスプリットゲートトレンチ構造によって低オン抵抗化を図ったパワーMOSFETで、2022年ごろには40V耐圧品も投入していた。

Cuクリップとウェッタブルフランク構造を採用

 今回の新製品は、大電流/高放熱化が求められる車載用途に対応するため、パッケージ内部の接合構造を改良した点が特徴だ。従来のワイヤボンディングに代えて、銅製の板状導体でチップと端子を接続する同社の銅(Cu)クリップボンディング技術「Source Clip」を採用。パッケージ内部の接続抵抗を低減し、最大175Aの連続ドレイン電流に対応した。TSCによると、パッケージの電流制限値を従来比で約20%引き上げたという。スプリットゲートトレンチ構造によるチップ自体の低オン抵抗化に加え、パッケージ内部の抵抗を低減することで、導通損失のさらなる低減を図っている。

従来のワイヤボンディング方式とSource Clipボンディング技術の比較。パッケージの電流制限値を従来比で約20%向上させた[クリックで拡大] 出所:タイワン・セミコンダクター・ジャパン
従来のワイヤボンディング方式とSource Clipボンディング技術の比較。パッケージの電流制限値を従来比で約20%向上させた[クリックで拡大] 出所:タイワン・セミコンダクター・ジャパン

 新製品は5×6mmの「PDFN56U」パッケージを採用し、40V、80V、100V耐圧の計8製品をそろえる。低オン抵抗を特徴とし、40V品では最大1.1mΩを実現。80V品は3.6〜3.8mΩ、100V品は3.5〜4.5mΩだ。最大連続ドレイン電流は40V品が175A、80V品が161A、100V品が141〜175A。いずれも車載電子部品の信頼性規格「AEC-Q101」に準拠。最大動作接合部温度は175℃だ。ロジックレベルとノーマルレベルのゲート駆動に対応する製品をそろえ、DC-DCコンバーターやモータードライブ、ポンプ、ファンなどを主な用途に想定する。

新製品8品種の主な仕様。40V、80V、100V耐圧品を用意している
新製品8品種の主な仕様。40V、80V、100V耐圧品を用意している[クリックで拡大] 出所:タイワン・セミコンダクター・ジャパン

 今回、パッケージには端子側面にはんだが回り込むウェッタブルフランク構造も採用した。これによって実装後のはんだ接合状態を外観から確認しやすくし、AOI(Automated Optical Inspection:自動光学検査)による検査性を高めている。

 佐藤氏は「Cuクリップ接合」自体は目新しい技術ではないとしつつ、今回の採用による特性向上に加えて、今後の製品開発における重要性を強調した。TSCでは、さらなる大電流/高放熱化に対応する新たなパッケージも計画しているといい、佐藤氏は「今後のMOSFET開発ではチップ技術に加え、パッケージ内部構造の最適化や新たな外形パッケージの開発が重要になる」と説明。「今回のCuクリップ採用は、今後の製品ロードマップや製品ポートフォリオ拡充に向けた重要なステップだ」と強調していた。

 なお、同社は2026年10月に60V耐圧のPerFETも発表している。こちらはウェッタブルフランク構造を採用している一方、内部の接合構造は従来のワイヤボンディング方式となっている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る